【 「吐き気」を一枚の絵にする為のメモ 】
◆/sLDCv4rTY




135 :No.34 「吐き気」を一枚の絵にする為のメモ 1/1 ◇/sLDCv4rTY:08/02/11 00:35:15 ID:S44wChK6
2008.2.10
昼頃、唐突の吐き気に襲われる。のちトイレに行き嘔吐。
 以下、そのときに感じた「吐き気」をいつか絵にするためのメモ。



 雨が降る大地の上で、長靴をはいた少女はパラソルを片手にしてばしゃばしゃと歩いていた。
少女が広げたパラソルのすぐ上には、低すぎる雲が延々と拡がっていて、
少女は雲と地面に挟まっているようになっていた。
雲は延々と拡がり、全ての地面に薄く影をつけていた。
 低すぎる雲は、全てを圧迫しながら雨粒を落としている。
小さな蛙、もしくはなめくじほどの大きさの大きすぎる雨粒はボトボトと地面に落ちてははじけ、
コバエのようなしぶきを飛び散らしている。
(そう、なめくじのように大きい雨粒)、(その雨粒の中には無数のコマバエがいる)、
(こまばえ達の羽音はまるで死人の唸りのよう)、
(死人たちの腐った羽音が聞こえつづけるなかで少女は青く透明なパラソルを片手にしてばしゃばしゃ歩く)、
(終末と共に雲はゆっくりと落ちてきている)
 歩く少女は笑顔まま、鮮やかな水いろの吐き気を小さな胸に感じていた。
それからばしゃばしゃと少し歩いて、少女は立ち止まった。
 そして少女は喉からオエッと、小石ほどの小さなカエルをたくさん吐いた。
口から無数のカエルがぼろろろろろろろろろと流れ落ちた。鼻からも二三匹が飛び出してきた。
 そのとき、無数のカエルが喉のなかを押し拡げつつ通っていくのを少女は感じ、
「喉」というのは一本の柔らかな「管」であるということを感じ、それが自分についていると感じ、
そして、自分はカエルやなめくじと同じような“いきもの”であることを知った。

――私たちの中には、柔らかい管が通っていて、それは胃袋に繋がっている。
 終末がゆっくりと落ちてくる中で、パラソルをひらめかせながら少女はそんなことを感じていた。



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