97 :NO.25 糞みたいなひと(1/4) ◇/sLDCv4rTY :08/01/14 01:06:23 ID:GNVBbaTt
夕暮れに、赤く染まる校舎。ひとけのない廊下には、青年と少女の、ふたり。
少女はふかくいきをはき、意をけっしたようにくちをひらく。
「あのね……、わたしねなんだか、甲斐くんのこと、すきになっちゃったの。」
バババババーーーーーーーーーーーーーーーーーーーカ。
小田さんが甲斐に告白してんのを、パソコン室にいた俺には窓ガラス越しに見えていて、バアカ、と思った。
馬鹿じゃねえの恋だのなんだの、あほらしい。もうすぐ受験だろお前ら。
しかもなんで相手が甲斐なんだよ、あいつめちゃくちゃ性格悪いってしらねえんだな仲居さん。
もったいないよ、あいつは小田さんを幸せにできないね。
あんな影でグチグチ文句いってて顔もカエルみたいな感じで
何考えてんのか分かんない奴なんかだったら絶対俺のほうがマシ。絶対俺のほうが幸せにできる。ほんとそう思う。
まあ言っても別に、別に俺は仲居さんのこと好きってわけじゃなけどね。たしかに可愛いとは思うけど。可愛いとは。
……まあ、べつにそんなのどうだっていいや。
それよりなんかネットで、小説を書いたら読んでくれるらしくて今それ書いてるんだけど、これがなかなか楽しい。
あ、なに、ハッピーエンドじゃないといけないのか。
んーこれハッピーエンドじゃないかもしれないけど、ま、いいか、投下しよ投下。
98 :NO.25 糞みたいなひと(2/4) ◇/sLDCv4rTY:08/01/14 01:07:05 ID:GNVBbaTt
◆
青い空。しんとした太陽。
そうげんの、まあんなか。
そのまあんなかで背中まげて二本足で立ち立ちすくむ、一匹のカエル。緑色の身体のうえに緑色のTシャツをきている。
腕はだらん。だらだらりん。よだれもだらん。だらだらだら。
よだれは太陽の光に一瞬きらりと輝いてはしたたる。
このだだっ広くなにもない草原のまんなかでただ立ってカエルは腕とよだれを垂らしていた。
うつろな目には緑色の地平線を映して。
その地平線からはいつものように黒い傘をもった少女がゆっくりと歩いてやってきた。
空に雲がすこしでてきたころになってやっとカエルの近くに着き、カエルの脚にもたれるようにして座って少女はカエルにかたりかけた。
「ねぇ……、なんだか私ね、あなたのこと、すきになっちゃったの。」
少女の躰は“泥”でできていて、太陽が静かに輝くそのしたで、泥の躰はカラカラに乾いていた。
◆
よおし。1レス目投下おわり。
うへへ、あれだな、たしかにスレに書き込まれてるってのをみると、なんかどきどきするね。
◆
「わたし愛してるのよあなたのことがあぁ!!!!」
寄生虫はそのカラフルな細長い躰をうねらせながらそう叫び、尖った尻尾でぶすぶすとカエルの
99 :NO.25 糞みたいなひと(3/4) ◇/sLDCv4rTY:08/01/14 01:07:28 ID:GNVBbaTt
「でも、わたし、気持ちはかわらない。わたし、宿主と結婚する!
そのために今からちょっくら脳をいじいじしてきてわたしのことを好きになってもらうんだ!!
よし! やるぞぉ!!」
そう独り言を声高にさけんで尻尾を頭上へと力強く突き上げる
寄生虫特有のガッツポウズで決意すると早速彼女は胃をつきやぶり脳髄への遠い旅に出かけた。
それを見ていた幼なじみは、ひとりじゃ危ないと思いすぐに後を追いかけていった。
◆
あいつら手ぇなんかつないで帰っちゃってるよバアカ。まあいいや投下投下。
◆
寄生虫は肉の中を掘りすすみ、脳へ脳へと向かっていった。
肉の中にはいろいろなものが埋まっていて、それはビーダマやワサビや鰤(ぶり)や
ジャングルジムやジャングルジムであそぶ親子連れなどさまざまで、道の途中いくどもそれらにぶち当たった寄生虫は
“まあなんてミステリアスな人”、と宿主のことをより好きになっていった。
しばらくして寄生虫は現在地を知るために、一度そとにでてみることにした。
肉の中を掘りすすみぶ厚い皮を食い破ると眼前には広大なそうげんが広がったが特にそれには興味がなく、
首あたりまで来たんだと知るとすぐに穴に潜りこんでいった。
そのあいだもカエルはぴくりとも動かなくて、そうげんの上には灰色をした雲が漂っていた。
100 :NO.25 糞みたいなひと(4/4) ◇/sLDCv4rTY:08/01/14 01:07:56 ID:GNVBbaTt
「なんでしゃべらないの? さびしいよ」カエルの足下にすわる、泥の少女はカエルにそう話しかけた。
「せっかく、あなたをみつけたのに。なんでしゃべらないの? さびしいよ。
しゃべってくれたら、わたし、おちんぽだってなめるよ(いってみたけど、ほんとはよく、わからないけど……)」
少女は草原で生まれ草原で育ち、この草原以外の場所はしらなかった。
そして少女を作ったおじいさんが死んでから、小屋の中でずっと一人で生きてきた。
雨がぱらぱらと降ってきた。少女の泥の躰は傘をささないと溶けてしまうけど、まあいいや、と思って少女は差さずにいてちょっとずつとけていった。
そのころ寄生虫は素早くずんずん掘り進み、その寄生虫を追っていた幼なじみは追いつけずに途中で見失ってしまっていた。
そしてその幼なじみは立ちすくみ、彼女(寄生虫のこと)が無事に脳へとたどり着いて
宿主が彼女の事を好きになってくれますようにと願っていたら
横から出てきた違う種類の大きな赤い寄生虫に一口でくわれてしんだ。
雨脚がつよくなったころにはもう、少女は少ししか原型を留めていなかった。
躰の全てがなめらかになり目や鼻の区別がつかなくなり、口があったところにはちいさな黒い穴があいていた。
少女はぼうっとしていた。雨粒一つ一つが泥の皮膚に窪みをつけて流れていった。
雨が降ったことを知るとカエルは眠りからさめ動きまわり、隣の少女の口元に勃起したちんぽを押し付けたりしていた。
なんにもないだだっ広い草原のまんなかでカエルだけが動きまわる。
そのカエルの体内では寄生虫が脳へと向かい、その寄生虫の幼なじみは肉片になって消化されている最中で、
泥の少女はとけきり汚い泥の水溜まりになっていた。
雨の降る、だだっ広い草原。
その真ん中で、カエルがきちがいみたいに踊っていた。
◆
よし。投下終わり。なんてか、自分が書いたのをだれかに読まれるってのもうれしいな。
暗くなってきて、雨も降ってきたし、早く帰ろうか。
うへへ。はずかしいけどうれしいな。