【 変身 ニート編 】
◆T7geDg2bAc




25 :No.06 変身 ニート編 1/1 ◇T7geDg2bAc:08/01/06 17:14:58 ID:CdIEAEgc
 昨夜、親父から薦められた本を読んだ。
 朝起きると自分の体が虫になっていたという内容だった。
 ある程度面白かったし、短かったのですぐに読み終わった。
 ニートな俺にこれを渡すなんてあの爺は鬼だろうかと思った。
 「何で、この本の主人公は虫になってしまったんだろう?」
 その答えは考えても考えても分からなかった。

 「――ご飯よ」
 何か気がかりな夢から目を覚ました。
 一階からお母さんの声が聞こえる。
 食事は憂鬱な時間だけどお腹が空いていたので一緒に食べる事にした。
 階段を下りる時すごく体が重く感じた。
 運動不足だからなぁと反省し、席に着くと親父から話しかけられた。
 「本、どうだった?」
 「面白かったけど、わかんない事が多すぎるって、親父はどう解釈してんの?」
 「そのまんまだよ、そのまんま」
 と親父がにやけている。
 「じゃ、何で虫になったの?」
 一応聞いてみる。
 「朝が来たからだよ、朝が」

 今日も朝が来た。
 自分の体に違和感を感じた――。

 「まぁ、お前は仕事に行かなきゃと悩む必要はないな」
 親父がそう呟いた。



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