88 :選考外No.1 名称未設定 2 1/2 ◇rtcdh1tgPs:07/12/03 01:42:33 ID:Mb4WRYJ4
「この世界では今、たった一つの伝染病で人々が大混乱に陥っています。どこをみても阿鼻叫喚――というわけではしかし無いみたいですね、自分は大丈夫だろうという根拠の無い安心感によって、なんとか世界は同じように動いているという所でありましょうか――」
根拠の無い安心感? 否、根拠があるからこその安心感であろう。
無機質なラジオの音に、つい無機質返しで突っ込んでしまったのは、とある男である。
この世に生を受けて、十四年目。
この十四、という数字が絡んだ伝染病が、世界を、そしてこの男を大混乱に陥れている主である。
医師曰く――成長が止まるのだ、と。
いままで一年で一つ、年を増やしていた者たちが、十四以上を見る事無く、止まったのだと。義務教育すら終える事無い、その年で。
伝染病はそのまま十四病と呼ばれることもあれば、学年に引っ掛けて呼ばれる事もあった。つまり――
安心感とはそのことであった。十四で止まるのなら、十五には関係ない、その上にはもっと関係ない、ということだ。
だから今不安でいるはずなのは、十四以下の少年少女とその親、未来から来ていた未来人ぐらいのものだろう。この男も例外無く含まれているのだ、その中には。
こうして、始まったのだ。誰もが予想できなかった、多子老零化の時代が。
十四歳しかいない、ネバーランドのような世界が。
89 :選考外No.1 名称未設定 2 2/2 ◇rtcdh1tgPs:07/12/03 01:43:13 ID:Mb4WRYJ4
もう抜群に最高だぜっ! ロリ好きにはたまらん!
と最後に書いて、
「あ、でももうちょっと年齢低い方がいいかも。十二ぐらいかな、ふふふ。でも、この最後の文は消さないと……」
少年は立ち上がった。古めの洋楽が控えめに流れているこの部屋には、ギターが無下に転がっている。
「これで文学賞総なめ間違いなしだぜ! 俺も偉大なる作家先生方の仲間入りを果たしたって訳だな」
机には、日本外国問わず名作のハードカバーが積まれている。
全て六ページ目ぐらいにしおりが挟んであった。目次ぐらい?
これがこの少年の暗黒期になるのか、それとも本当に作家になるのかは、
「自由だぁああああっ!」
これ、彼がギターで唯一弾ける奴です。