【 ツンデレにかける魔法 】
◆.tGCE3PRLs




20 名前:No.05 ツンデレにかける魔法 1/3 ◇.tGCE3PRLs[] 投稿日:07/11/17(土) 21:25:39 ID:fEEgyMTB
「ねぇ、私に魔法をかけたって何?」
「魔法は魔法だよ。君だけが分からない魔法」
「何を言ってるの?ちゃんと教えてくれないと、
あんたの事なんか、嫌いになるわ」
「うん、それで良いんだよ」
「何?私がだんだんあんたのことを
嫌いになるような魔法でもかけたの?」
「ううん。僕は君の感情を支配することなんて出来ないさ」
「でも魔法なんでしょ?」
「そうだよ」
「だったらそのくらい簡単じゃない」
「んー。そうかもしれないけどさ……」
「もう!結局何なの!?」
「いや、良いって。忘れちゃえ忘れちゃえ〜」
「気になるの〜!」
「ん〜、じゃあ一つだけヒントをあげるよ」
「何よ」
「別にそれが無くっても、君の人生にはなんの支障も無いよ」
「どういうこと?」
「そういうこと。
それよりも、僕からも一つ言わなきゃいけないことがあるんだ」
「先にこっちの質問に答えなさーい!」
「良いから良いから、そっちは大丈夫だから。
あのね、僕……明日引っ越すことになったんだ」
「引越し?」
「そう」
「何で今日まで言わなかったのさ!?」
「言えなかったんだ。……色々と、大人の事情でさ」

21 名前:No.05 ツンデレにかける魔法 2/3 ◇.tGCE3PRLs[] 投稿日:07/11/17(土) 21:25:59 ID:fEEgyMTB
「誰にも言わないわよ!幼稚園から一緒だったのに、
言ってくれないのは酷いわ。裏切られた気分よ……」
「ごめんね……」
「あんたなんか大嫌いっ!もう顔も見たくないっ!」
「いや、だから明日には僕の顔なんか見れないんだって」
「知ってるわよ!たとえよ、たとえ!」
「そっか。でも、何か言ったらすっきりした」
「何よ」
「言わなかったのは、僕も心苦しかったっていうか……ね」
「ふぅん、だったらすぐに言っちゃえば良いのに、バカ」
「そう、バカなんだ。だから、色々確認したくなるんだ」
「確認……?」
「あ……。な、何でもないよ」
「何よ?
……あ、もしかして私にかけた魔法に関係あるのね!?」
「ない、ないない!全然無いから!」
「怪しいわ、怪しすぎるっ……。
今ならまだ間に合うわよ!早く吐きなさい」
「確かに間に合うけど……ううん、良いんだ!言わない!」
「言いなさい」
「ダメ」
「何よ!本当にアンタなんか嫌いなんだから!」
「それで良いんだよ!」
「……!!」
「……ごめん。最後にひと言だけ、挨拶したかったんだ……」
「何よ!今からでも会いに行ってやるわよ!」
「それはムリだよ……」
「何でよ!」
「じゃあ……」
――。

22 名前:No.05 ツンデレにかける魔法 3/3 ◇.tGCE3PRLs[] 投稿日:07/11/17(土) 21:26:23 ID:fEEgyMTB
――。
「僕の名前は何ていうの?」
「それは、あんた……。え?……誰……?」
「あーあ、ばれちゃった……」
「え、私。……誰と話してるの?」
「ほら、誰でもないよ。だから、切るね……
さようなら、大好きだったよ」
――ガチャン、ツー、ツー
「誰?……でも、何か、すごい大切だった……ような……」
「秋子〜?早く降りてらっしゃーい、ご飯よー」
「ご飯……はーい!」
 秋子は手にもっている写真を捨てた。
 秋子と、知らない誰かが仲良く写っている写真を。




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