【 我らからふる姉妹〜驚撃の山本〜 】
◆CoNgr1T30M




46 :No.14 我らからふる姉妹〜驚撃の山本〜 1/4 ◇CoNgr1T30M:07/11/04 20:22:04 ID:CXhL+OYA
「うん、お姉ちゃんにはね。色気が足りない」
我が妹ながら最初っから失礼奴だ。そりゃ最近では妹の方が胸も大きいし、なんかこの前、風邪引いた時とかマジで色っぽくて欲情したけど、さ。言っていいことと悪いことがある。でも可愛いから許ーす。
「うん、だからお姉ちゃんに彼氏紹介してあげる」
「えー、私はあんたがいればいいし……それにあんたも彼氏いないでしょ」
「え?いるけど?」
――刹那、姉妹の間合いは姉の一方的な干渉でほぼ零。妹のスカートをめくりあげ、パンツに手をかけレッドゾーンへ!
否、次の瞬間、衝撃が走り視界が上へとずれる。私は妹が顎を蹴り上げたのだと吹き飛ばされながら理解した。
「んもぅ、いきなり欲情しないでよ」
「い……いや確認を……」
「それはそうとお姉ちゃん年下が好きだろうと思って同級生からちゃんと見繕ってきたよ」
級友は物か!? あと勝手な偏見はしないで頂きたい。私はただ妹が好きなわけで年下が好きなわけでない。だから妹が年上なら私も年上が大好きになるだろう……ん?
「あーじゃあ出て来てください山本君!」
ばたん、と実に自然にクローゼットから男が現れた。
「あっ、どうも山本です。誕生日は六月六日、趣味は空を見ること、です」

47 :No.14 我らからふる姉妹〜驚撃の山本〜 2/4 ◇CoNgr1T30M:07/11/04 20:22:32 ID:CXhL+OYA
 我が家の居間には正座している男がいた。名を山本、妹の同級生らしく面の皮は及第点、これは私の印象だが性格が破綻してる雰囲気を漂わせている気がする。
 第一、私は男に興味はない。あるのは妹だけである。
「見たところモテそうなんだけど……」
妹がすかさず答える。
「あー……確かに面の皮は及第点だけどホラッ駄目な感じじゃん! だからあんまモテないかなー」
「ふふ……本人を前にしては普通言わないですよね」
けれど口調はむしろ嬉しそうな感じで穏和な性格かドMなのか、私は後者な気もしなくはない。
「ところでコイツとの関係は?」
「え? 山本は私の奴隷です」
「いーやいやいや、そんな英語の教科書に載っているような文で答えても! 山本もそれでいいのか? なんというか人間的に」
ここで空気と化していた山本と言葉のキャッチボールを開始。
「ええ、それについては納得しています。じゃんけんで負けましたからね」
じゃんけんくらいで奴隷になるな馬鹿野郎、そしてなんという鬼畜妹、そういうとこも大好きです。

48 :No.14 我らからふる姉妹〜驚撃の山本〜 3/4 ◇CoNgr1T30M:07/11/04 20:23:01 ID:CXhL+OYA
 夕暮れの秋、空はすっかり朱色に染まっている。そんな悲しげな空を僕は誰もいない放課後の学校で、ぼうと見ていた。
 そろそろ鴉と一緒にでも帰ろうか、そう思って自分の机から立ち上がる。そこで初めて自分以外の人間が教室に居ることがわかった。
「えっと、……佐倉?」
自分の隣りに座る少女。ぱっちりとした目、小さく整った顔、とても愛くるしく男子に人気が高い。けれど一つ上の学年にいる双子の姉が溺愛していることからあまり言い寄る者はあまりいないようだ。が
「ふふ、山本君てなんか不思議ね」
今の自分はきっと照れくさそうに頭をポリポリとかいているに違いない。こんな美少女と二人きり……間違いが起こっても誰も責められないだろう。
「いや〜、空を眺めるのが好きなんだよ。大きくてさ、どこまでも連れてってくれそうで」
くすりと佐倉は笑い。しばらくの沈黙が僕らを支配する。
「ねぇ……山本君」
ばっ、と手を握ってくる。柔らかく暖かな手。小さく壊れてしまいそうな程。
 その時の僕は無意識で握りこぶしを作っていた。そして彼女の手が羽根のようにふわりと離れて“パー”を作る。
「はい、山本の負け。今日から奴隷ね」
そう、僕はじゃんけんに負けたのだった……。

49 :No.14 我らからふる姉妹〜驚撃の山本〜 4/4 ◇CoNgr1T30M:07/11/04 20:23:32 ID:CXhL+OYA
「これが奴隷となったわけです」
ますます意味がわからん。しかも今の回想かよ。……まぁ、山本がおかしいのがわかったが……。おい、その変なポーズをやめい。
「で、お姉ちゃんこれどう?」
「うーん論外かなー」
「そ、そんな! まだ告白もしてないのに! あっ、そうそう好きです付き合って下さい」
答えは言わずと知れているので割愛。そしてこの山本、妹の奴隷としてたまに我が家を出入りしている。

「で、彼氏って誰さ?」
「う〜ん秘密かな〜」
人差し指を唇に当てて秘密のポーズをとる妹。う〜ん、可愛いからいいか。そして山本、その変なポーズをやめい。



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