【 家庭的 】
◆K0pP32gnP6




35 :No.07 家庭的 1/1 ◇K0pP32gnP6:07/10/28 13:59:36 ID:xbD7FhZ/
「この私にお一人様1セット限定のトイレットペーパーを買いにいかせるとは、どう言う神経なのかしら?
 まったく、私があの家に居候させてもらってる立場じゃなければ、あの一家全員死刑ですわ!」
 物騒なことを呟きながら、マリー=カテージ=グリュイエールは人通りの少ない住宅街の
道を歩いていた。
 後ろから不意に声。
「あんた、王女様かい?」
 その言葉に、マリーは跳ねる様に飛び退き、声の主と距離をとった。
 男の手には黄緑色に光る剣――いや、剣の形をした黄緑色の光が握られていた。
「その魔法剣、刺客の方ですの?」
「正解だ、王女様。わざわざ時空転移魔法でこんなところまで逃げているとはな」
 そう言いながら一歩、右足を前に出す刺客。
 マリーは左手に持ったトイレットペーパー12ロールセットを投げつける。
 刺客の男は、重さを感じさせない動作で剣を振り、トイレットペーパーを斬りつけた。
 ように見えたが、トイレットペーパーは斬れていない。
「おっと、王女様。この剣はあんた以外のあらゆる物を通り抜ける。防御不能だ」
 ククク、と堪えるように男は笑う。
「まあ、人をいたぶる趣味は無い。大人しく斬られてくれればなぁ」
 地面を蹴って、一気に間合いを詰める男。
 逃げても間に合わない、そう察したマリーは、
「ふんどおりゃああぁぁぁぁ!!!!」
 右手のトイレットペーパー12ロールセットを思いきり振りかぶった。
 予想外の出来事に、男は剣でトイレットペーパーを防ごうをした。
 がしかし、トイレットペーパーは剣をすり抜け、男の頭部を盛大に揺らした。
 地面に崩れ落ちる刺客の男。男の手に握られていた黄緑色の光が徐々に薄くなる。
「な、並びなおして2セット買っといてよかったー!」



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