46 :NO.12 散歩道 1/2 ◇3pCrvCA6rU:07/10/21 18:35:47 ID:ZQYbBC5L
今日は変わった一日だった。
朝まではいつもと変わらなかった。いつも通り、奴隷の用意する朝食を食べ、いつも通り散歩に出かけた。
そこまではよかった。問題は俺がつまらない興味を持ってしまった事だ。
いつも通りの散歩道を歩いていたのだが、その時に何かが大声で唸っているような声が聞こえてきた。いつもと違う物に興味を持ってしまった俺はその声のする方に向かって行ってしまった。
原因はつまらない物だった。小さな奴隷が鳴いていた。ただそれだけ。
意味のよく解らない鳴き声をあげながら目から涙を垂らしている。目でも乾燥しているんだろうかと思ったが、俺にとってはどうでもいい事だから再び散歩に戻ろうとした。
よく考えたら、ここから完全におかしくなってしまったんだ。
不幸な事にその奴隷と目が会ってしまった。
奴隷は涙を垂らすのを止めると俺の方に向かって走ってきやがった。何か嫌な予感がし、俺はとっさに高い所に逃げた。
奴隷の野郎は俺に触りたいのか、手を伸ばして無駄な努力をしてやがる。飽きたらどっかに行くだろうと思っていたが、その気配は一行に無く、俺は動けずにいた。
いい加減、じっとしてるのにも疲れてきたし、いったいどうしたもんかと思っていたのだが、その時に良い事を思いついた。
なんでも昔から奴隷の一族は他の生物をペットとして飼ってたらしい。
俺もそれに見習ってこの奴隷をペットして飼う事にしたんだ。
とりあえず、ペットの能力を調べてみようかと思い、顔を見てみる。
47 :NO.12 散歩道 2/2 ◇3pCrvCA6rU:07/10/21 18:36:26 ID:ZQYbBC5L
どうしようも無いほど馬鹿っぽい。そこでまず、調教を始める事にした。と、言ってもどうやって調教すればいいのか解らない。
どうしようかと顔でも掻いて考えていた時、奴隷が急に俺の真似を始めた。
試しに反対の前足を上げるとそれも真似した。何回かしても完全に真似してきた。
そこでまた思い付いた。俺が手本を見せてこいつが真似すれば調教できるはずだ。
そして早速狩りの仕方を教えようと思ったのだが。
「○○○○○○!」
何か、叫ぶ声が聞こえた。何かと思い、声のした方を向くと別の奴隷が立っていた。
その奴隷は俺のペットの顔を確認すると、急に走りよって来た。
ペットも最初に会った時のように涙を目から垂らして奴隷の方に駆け寄って行く。
二匹の距離が0になると、奴隷が俺のペットを抱き締めた。
勝手な事をされては困ると近寄って文句を言うのだが、言葉が解らないのか、まったくこっちに反応しない。
まったく、これだから馬鹿な奴等は嫌いなんだ。
しばらくすると、ペットが俺の方を向くと、前足を振ってきた。
そんな事は教えてないはずだがと思っていると、奴隷とペット手を繋いで反対方向に歩き出してしまった。俺はまた文句を言ったが、やはり理解していない。
せっかくペットにしてやろうとしたのに無礼な奴だった。
それで散歩を続ける時間も無くなってしまったし、本当に無駄な一日だった。
結局、家に戻って奴隷の帰りを待って晩御飯を食った。
キャットフードの美味さだけが変わらないのはよかった。
だが、俺の奴隷が食事中に背中を撫でるのは変わって欲しいものだ。
終わり