【 我らペットが欲しいぞっ!姉妹 】
◆CoNgr1T30M




13 :No,4 我らペットが欲しいぞっ!姉妹1/3 ◇CoNgr1T30M:07/10/20 20:34:15 ID:zm4hpgUl
ある土曜の夕方、廊下でどたどたと騒がしい音する。それはだんだんとこの部屋に近付き、そして目の前の戸が勢いよく開いた。
「突然だが、ペットが欲しいよ姉上様、字余り」
それはもはや俳句ではないぞ、妹よ。字余り付ければなんだって書いていいってわけじゃないんだ、俳句は。それはそれは厳しい世界なんだよ。
「また突然だな、犬か猫か? まぁどのみち駄目だが」
「猫。犬は嫌い、怖いわけじゃなくて人にへコヘコする態度が情けない。その点、猫は自由だ。言うことも聞かない、流行りのツンデレって奴だな……って駄目なのかよー?」
テンション高っ! 何が彼女にそうさせる。あとお前、小さい頃犬見て泣いてただろ。知ってるんだよ愛しのマイシスター。
「駄目だ。お前、昔に夜店ですくった金魚を飼っていたろう? あれはどうなった? 死んだよなぁ、それも一日で。むしろすくわれずに売れ残った方が長生きだった、と話したじゃないか」
妹は目をうるうる。だが気をつけろッ! 妹は嘘泣きの達人だ。幾度のなく騙されてきた。だがそれが快感だったりする私は人間的にどうなんだろう。
「ほら、もう高校生だし。ちゃんと世話するから……三日くらいは保つと思うよ?」
猫だし、自分で餌くらいとるよ。と付け加える妹。
私は海外にいる両親から貰うなけなしの小遣いをはたいて、妹とペットショップで向かった。

14 :No,4 我らペットが欲しいぞっ!姉妹2/3 ◇CoNgr1T30M:07/10/20 20:34:50 ID:zm4hpgUl
「まさか猫ごときがこんなに高いなんて……」
残念そうな女子高生が二人、ペットショップの前に佇んでいた。
両親から送られる生活費を使えば買えないこともないが、それは流石にまずいだろう。
「んじゃあ、捨て猫でも探します?」
妹、なんかブラックだな。
「そういえば、友達の家に子猫が産まれたとか……」
「なーんだ、始めからそういうコネ使えばよかったじゃん」
妹、やはり黒いなお前。でもそういうとこ嫌いじゃない、むしろ好きだ。
「じゃあ友達の家に行って来るから先に帰っててくれ」
妹はチャリを漕ぎ。私は徒歩で友達宅を目指した。
参考までに自宅からペットショップは五十メートル程、ペットショップから友達宅はおよそ四百メートル、誰が自転車に乗るべきかは分かりきっていたはずだ。
ちなみに行きは二人乗り、こう、密着して。
妹も結構成長してるのが背中で分かって姉として嬉しかった。

15 :No,4 我らペットが欲しいぞっ!姉妹3/3 ◇CoNgr1T30M:07/10/20 20:35:25 ID:zm4hpgUl
子猫の可愛さビームで目を輝かせる妹。あぁ、私の可愛い子猫ちゃん。
「かーわーいーいー、白くてふわふわで……。キャー!」
「発狂中悪いんだけど名前とかどうするの? ……あと必要なら鎮静剤投与するけど」
ふっふっふ、妹の目がキラーンと光る。
「名前なら私が金魚を殺した小学三年生の時、すでに決まっている。“ジョセフ”だ。決まっているだろう?」
白くてふわふわして小さい子猫にはいささかハードボイルドな気もするがまぁいいだろう。
「それで鎮静剤はいる?」
このままだと白い子猫は成長した妹の胸の中、圧死する恐れがある。ちなみに金魚は一日中、妹の手のひらで過ごしお亡くなりになられた。

その後、面倒な世話をするのはお約束通りに私になった。
もっとも子猫の可愛さビームは万国共通。私もその魔力に惹かれつつある。



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