61 :No.17 恐怖の試作型 1/2 ◇KROETylmQE:07/10/14 22:48:41 ID:be9X9miL
なんで、ロボットもののマンガやアニメの試作型は、量産型より強いのか。
そんな事ありえる訳がない。
何故なら量産型とは、試作型のテストデータを元に弱点を改善したものだからだ。
しかし、俺の目の前に現れた試作型は、物凄く威圧感を持っていた。
俺の機体と対峙しているのは、旧式のしかも試作型。
さらに右腕は付いていない。なんというジャンク。
しかし、こいつは間違いなく、向こう側からやってきた。
奴が現れた方角には、先輩達の機体が計三機向かったはずである。
いずれも最新型の量産機。
『お前は今日が初陣だ。最初から前線に出すわけにはいかない。ここで待ってろ』
先輩の一人の言葉を思い出す。
あのオンボロが、最新鋭の機体三機を、しかも右腕がない状態で倒したと言うのか?
試作型は、微動だにしなかった。
まるで俺が動くのを待っているかのように。
どんな奴が乗っているのか?
熟練のパイロット?
少なくとも伊達や酔狂でアレに乗っているのではないだろう。
あの機体で先輩達を倒すほどの実力。
俺が太刀打ち出来るわけがない。しかし。
不意に、試作型はぎこちなく左足を前に出す。
来た。
背面に掛けてあるパルスライフルに手を掛ける操作。
さらに、試作型は右足を前に出す。
ライフルを腰だめに構える。
そして発射。
試作型がゆらりと、右に滑る。
62 :No.17 恐怖の試作型 2/2 ◇KROETylmQE:07/10/14 22:50:09 ID:be9X9miL
しかし、パルスライフルは難無く命中。
右に滑る動作のまま、流れるように地面に倒れる、試作型。
「え?」
自然と疑問が漏れた。
俺が倒した? 先輩達を負かした機体を?
数分、俺――というか、俺の機体は立ち尽くしていた。
『おーい、うまくやったか?』
先輩からの通信だった。心霊現象か?
「へ?」
再び疑問が漏れた。
『いやあ、よっわそうな旧式が出てきたから、お前に実戦経験させようと思って』
『親切にも武器持ってた右手だけ切り落としてな』
『どうやら上手くやった様だけどな』
うわぁー。さっきのパイロット、伊達や酔狂であの試作型に乗ってたんだぁ。
おわり