【 猫になっちゃった 】
◆kl95d1ggq6




44 :猫になっちゃった ◆kl95d1ggq6 :2006/05/14(日) 21:53:32.64 ID:RifK93aG0
『にゃあ〜』
猫の鳴き声だが、僕のペットのララの鳴き声ではない。僕の鳴き声だ。
『にゃあ〜』
「あらあら、ホントに猫になっちゃった!どうしましょう(微笑)」
僕の目の前で微笑んでいるのは、僕の彼女の舞ちゃん。付き合って1年以上の彼女だ。そしていま僕が居るのは彼女の部屋だ。
そう、こんな事になったのかを思い出してみる。

今日は土曜日僕も舞も学園が休みなので、朝からデートすることにしていた。
『舞おはよう〜』
「武田先輩おはようございます」
外で舞と会うとき、彼女は僕を立てて“武田先輩”と呼んでくれるんだ。まぁ誰かとあった場合も考えてもだけど。
『おはよう。今日は何処行く?』
「ちょっと帰ったらお菓子を作りたいので、専門店に行きたいのですがいいですか?」
『別にいいけど。舞が作ったお菓子の試食ってしていい?』
そう聞くと舞は少し赤くなりながら答えた。
「武田先輩に食べて欲しいから作るんです(///)」
僕はその返答に満足しながら舞の手を握って専門店へ向かった。


45 :猫になっちゃった ◆kl95d1ggq6 :2006/05/14(日) 21:54:41.50 ID:RifK93aG0
専門店で舞は嬉しそうにカゴに食材などを入れていく。ちなみにその負担は僕が払うのだが(笑)
「せんぱい〜ちょっと見てくださいよ!」
舞が僕を呼ぶので近づくと彼女の指の先に1枚のPOPが張ってあった。

【ちょっとあなたも動物へ変身?24時間動物体験してみませんか!!】
いかにも怪しげなPOPである。
詳しく読んでみると、食品にこの粉を混ぜるとある一定量以上を食した方はその粉成分の動物に最大24時間なることが出来ます。
なお、24時間経っても元に戻らない場合は至急弊社お客様相談センターにお電話下さい。

『いかがわしい商品だなw』
種類は犬・猫・ねずみ・小鳥の4種類、値段は各9,800円という高価なものでだった。
「ネコさん♪ネコさん♪」
僕が制止する隙も与えずに舞は自ら財布を取り出し買っていた。
『舞、買ったの?』
「うん!だって面白そうだもん!」
『で誰が猫になるの?』
その質問に舞は答えず満面の笑みで僕を見つめてた。

僕は舞の笑顔の前では無力だ。
『・・・わかったよ、今日は舞の家へ泊まると連絡しておく』
僕と舞の関係は両方の親も知っているのでその点は問題ないのだが・・・。


46 :猫になっちゃった ◆kl95d1ggq6 :2006/05/14(日) 21:55:37.47 ID:RifK93aG0
『にゃあ〜(で僕はどうなるのですか)』
「なっちゃん可愛い!」
そういうと僕(ネコ)をぎゅっと抱きしめてきた。

『に、にゅあ〜(く、苦しいよ)』
「気持ちいいでしょ〜ほら胸に挟んであげる」
『に、にゃあぁぁ〜(き、気持ちいいけどぉぉ〜)』
僕を一旦解放してミルクを取ってくると舞はリビングへ向かった。

僕はとりあえず問題の粉の説明書を読むことにした。
【この粉は最大24時間の動物体験を出来ます。もし動物体験中に至急人間に戻らなくてはいけない状況の場合は・・・】
肝心の文章は何者かによって切り取られていたようだった。


47 :猫になっちゃった ◆kl95d1ggq6 :2006/05/14(日) 21:56:22.21 ID:RifK93aG0
「なっちゃん、ミルクだよ〜」
舞が戻ってきたので、とりあえずミルクを舐めた後、舞にコミュニケーションを図ろうと試みた。
不慣れな猫の手でボールペンを持ち近くにあった紙に書いてみた。

【まい、にんげんにもどりたいよ】
「今晩は、だ〜め!なっちゃんを抱きしめながら一緒に寝るの♪」
『にゃあ〜(はぅ〜)』
懲りずにもう一度書いてみた。
【まいをあいしたいからにんげんにもどして】
「今晩はだ〜め!さぁお風呂入りましょうね」

僕は首根っこを舞に掴まれて風呂場に連行された。

「は〜い、シャワーしますよ〜」
舞は一糸纏わぬ姿風呂場に入ってきてシャワーをかけてきた。
同じ姿を何度も見たことがあるとはいえ、視線が違うとまたこれはいいかもと僕は思った。
『にゃ、にゃあ〜(つ、つめたいよ〜)』
「ごめんね、なっちゃん。じゃあ次はなっちゃんをスポンジ代わりに♪」
『にゃあ〜!!(ネコはスポンジじゃないぞ〜!!)』

僕はいつもじゃ感じられない快感と想像以上の疲労を感じながら、舞の腕の中で抱きしめられながら眠った。


48 :猫になっちゃった ◆kl95d1ggq6 :2006/05/14(日) 21:58:03.50 ID:RifK93aG0
「おはよう、なっちゃん」
『にゃ、おはよう。あれ元に戻ってる!』
真っ裸であったが人間の男の僕に戻っていた。

「うん。今日は日曜日だからなっちゃんと遊びたいし!」
『じゃあ舞が戻してくれたの?』
「うん。だから言ったでしょ昨日はネコでいてって」
『ちなみにどうすれば戻れたの?』
「それはね・・・。やっぱり教えてあげないよ〜」

僕の鼻にいい香りの味噌汁の匂いが入ってきた。
「さ、服着て朝食食べて早く遊びに行こう」
『うん!そうだな舞』




舞の施錠された机の引き出し

【この粉は最大24時間の動物体験を出来ます。もし動物体験中に至急人間に戻らなくてはいけない状況の場合は、動物になったのが男の場合、女性がその唇に10回以上キスをしてください。但し、男女が相思相愛で無い場合では効果はありません】    FIN



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