24 :No.05 [願望志望」 1/1 ◇ZRkX.i5zow:07/08/11 10:43:44 ID:Hvkbkqxi
自分の気持ちに素直になれないから、私は自分の腕を切りつけた。
たったそれだけの事。
怖いから手首じゃなく、目立つから前腕でもなく、保身の為に二の腕一センチ。風呂場でやったせいか鮮血は多く流れ出し、
もしくはそう見えるだけか。洗い流せば裂けた地層、それを止めたらあふれ出るマグマ。
誰か止める方はいないのですか?ああ、私のやった事ですか。そうですか。ごめんなさい、すいません、さようなら。
今も残るその痕に、私はただただ酔いしれる。
その日は吉日か、凶日か。傷が友人に明かされた。
「どうしたの?」と友は訊く。
「毛の処理にミスったの」と私は嘯く。
突っ込みにくい事を訊いてくれるな。これだから自分に素直では無いのかな。
多分、逆だろう。
某、これこそ人形ではござらんか。
ああ、ちがいまするちがいまする。それではただのマリオネット。夢こそあれど死にはせんぞ。
明日はわが身、今日こそこの身。
この身の傷は消えないのです。しょうがないのです。ありがとう、感謝千万、こんにちは。
今も疼くこの痕に、私はますます愛おしい。
すなわちそれは更なる飛躍、眠気覚ましの睡眠薬。
たった二錠だけの事。
自殺なんて考えちゃいねぇよ。馬鹿じゃねぇの私の癖に。
『癖』という字はやまいだれ。じゃあすでに病んでんじゃん。
怨色、演出、厭世主義、すべてスタッフ付でございます。不満があれば何なりと。
不満なんてありもしません。むしろ至福です。幸福過ぎて手塚治虫もビックリです。アハハ、ウフフ、ヘヘヘのへ。
今も冴えるあの痕に、私はゆっくり堕ちてゆく。
(終)