【 花男 】
◆yzmb2eMBHA




93 名前:花男1 ◆yzmb2eMBHA :2006/05/07(日) 14:25:49.87 ID:SiyCpM+r0
花男

知人に鼻緒という名前の男がいる。
ここで勘違いしてはいけない。「知人」である。
その愛すべき「知人」鼻緒には、こういっては何だが、花があった。
ここでまた注意をさせてもらう。華じゃなく「花」である。
別に駄洒落でもなんでもない。
彼は体のどこかに花があるのだ。いや本当に。
性質が悪いのが彼は花に気付いていないことだ。
言い直そう、流石に花がどこかにあることは気付いているが、それが特別なことだと思っていない。
うん、説明しにくい。
例えば彼が野生の花を体のどこかに付けていなかったとする。付いてないといったほうが正しいのだが。
すると彼は花柄のシャツを着てくる。それはもう、見事なタイミングで。
おや?花がないな、と思ったときがあったのだが、その時はパンツが花柄だった。
なぜパンツの柄が分かったのか、そこには触れないでくれ。
繰り返すが、重要なことなのでもう一度言っておく。彼は特別なことだと思っていない。
というか寧ろ彼は花が嫌いだ。その辺を説明するに相応しいエピソードがある。

94 名前:花男2 ◆yzmb2eMBHA :2006/05/07(日) 14:26:26.43 ID:SiyCpM+r0
以前、勿論鼻緒を含んだ三人で、ショッピングに行ったことがある。
鼻緒はカーテンが欲しいと言っていた。そこでのことだ。
店員が言った。
「そのサイズのカーテンですと、花柄等がありますが」
流石愛すべき我が知人、「花男」。いきなり花柄を進められる。多分そういう星の下に生まれたのだろう。
そこで鼻緒が激怒した。
「何言っているんだこのやろうっ!男が何で花柄のカーテン部屋にかけるんだ!考えたら分かるだろうがっ!」
我々は静まってしまった。言い忘れたが彼は怒ると結構怖い。身長が184cmもある。声も中々低い。
この怒りようだけでも、彼が花にあまり良い印象を持ってないことが分かると思う。
ただ一つだけ問題があった。彼は激怒していたから、怖くて我々も店員の兄さんも言えなかったのだが。
彼は花柄のTシャツを着ていた。まっピンクの。前後に広がる花、花、花。…信じて欲しい。本当の話である。
上で言ったことが本当だとお分かりになったと思う。
そして…すまない。話しかけられた。
「さっきから何してんの?」
私は答える。
「愛すべき花男の話を皆に伝えようと思って」
花男は少し照れたような顔をする。
「まあ君がそうしたいならそうしなよ」
彼は私に話しかけるときは常時より優しい声になる。
ちなみに言い忘れていたが、私は花が大好きである。

-了-



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