【 薔薇の赤 】
◇fPHhd8zg0




44 名前:題名 薔薇の赤 :2006/05/07(日) 04:57:18.07 ID:fPHhd8zg0
花は脆い。その脆さに、人は惹かれる。
そして、花の美しさに嫉妬する。
無垢な少女がいた。少女は、かわいらしく皆に好かれた。
皆、純粋でいい子だといった。少女は、それをうれしく思っていた。
ある日少女は、友人と遊んでいた。特に不満も無く楽しかった。
しかし、友人がいった。
「お花って綺麗だよね。××ちゃんはかわいいけど、お花は綺麗だね。」
その言葉に強い嫉妬の念をいだいた。
花に嫉妬などばかばかしいとはわかっていた。しかし、目の前にあるものと比べられたのがいやだった。
花が美しいこと位しっている。でも、目の前で比べられるのは不快だった。
その矛先が、花に向かった。友人が悪くないのは知っていたから。
花の種類も見ないで、友人の目の前にある花を毟ろうとした。
「っつ・・・」
鋭い痛みが走った。つかむ前に気づくべきだった。花は、薔薇だった。

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/07(日) 04:57:48.99 ID:fPHhd8zg0
『綺麗な薔薇には棘がある』
そんな当たり前のことも忘れるほど嫉妬深い自分に自己嫌悪した。
手が熱い。友人が何か言っているようだが、まったく耳に届いていなかった。
手の熱さが、頭まで熱くしていった。花は脆い。
少女の手でも簡単に「殺す」事が出来る。少女は、たくさんの花を「殺した」。
気がつくと、家のベットに寝ていた。手には包帯が巻かれている。
この傷は少女の嫉妬が生んだ傷。血の赤は燃え滾る嫉妬心。
なぜこんな事をしたのかみんなから聞かれた。
少女は黙ってうつむいた。

時が経つにつれ、みんなあの事件を忘れた。あの少女意外は。
あの後、少女は「純粋だね」と言われるのが苦痛になった。
少女の脆い心はかけていった。

ある朝、母親が寝室を見ると少女が消えていた。
村中で懸命に捜索した。そしてみつけた。
白い薔薇の中で、赤く血に染まる少女を・・・・・

END



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