【 全てを焦がす火球の如く 】
◆ZKiCFm8B3o




35 名前: ◆ZKiCFm8B3o :2006/05/07(日) 02:09:06.92 ID:PqgpVv8d0
く、くそ・・・
彼は今、追われていた。
このままでは確実に殺られる・・・
内心の焦りと共に彼は走る。
彼の背後には大量の魔物が迫っていた。
形は異形。
頭の先端は緩く尖り、手らしきものは見当たらない。
足は異常に短いが、頭部は異常に大きい。
そして、鋭く尖り鈍く光った二本の牙が、あの生物の凶暴性を何よりもあらわしていた。
あの牙に何人の仲間がやられたことか・・・
無残に引き裂かれ、血と肉片にされ、散っていった仲間を思い出し、彼は身震いした。
と、とにかく武器になるものを探さないと・・・
彼は走りながら周りを見回す。
何か無いのか・・・
そこで、彼は一つのものを見つけた。
ブロックがあったのだ、空飛ぶブロックが。
何だ、あれは!?・・・
どう考えてもおかしい。
まず、こんな所にブロックがある事自体おかしいが、それに加えてあのブロックは浮いているのだ。
いったい、どういう事なんだ?・・・
だが、彼に考えている時間など無かった。すぐそこまであの魔物が迫っていたのだ。
考えてる時間なんて無い・・・
彼はブロックに駆け寄る。
こうなったらなるようになれ!!・・・
そして、
「ホッホーウ」
気の抜ける掛け声と共に、ブロックに突撃した。

36 名前: ◆ZKiCFm8B3o :2006/05/07(日) 02:09:36.83 ID:PqgpVv8d0
「オゥ」
彼は驚きの声を上げた。
は、花?・・・
彼の前には花が咲いていた。一輪の花が。
その花は強く橙色に輝き、今にも燃え出しそうに咲き誇っていた。
なぜ、ブロックから花が・・・
「アウッ」
ブロックから出現した花に驚いていた彼の体が、突然吹っ飛ばされた。
と、同時に彼の体が縮んでいく。
彼の後ろにはあの魔物達が立っていた。
くそ、囲まれた・・・
周りはいつの間にか取り囲まれ、逃げ場はどこにも無い。
し、死ぬ・・・
絶対絶命の状況下で倒れる彼の前に、先程の花が力強く咲いている。
くそ、ここで終わり、なのか・・・
だが、そこで彼はあきらめなかった。
最後の力を振り絞り手を伸ばしたのだ、目の前の花に向かって。
ガシッ!!
渾身の力で花を掴んだ、すると、
ドュゥドュゥドュゥ
彼の体が巨大化したのだ。さらに、彼の体と同時に服も巨大化する。
力がみなぎる それに体が熱い まるで燃えるようだ・・・
花を掴んだ手に至っては、少し発火していた。
こ、この力は・・・
試しに手を魔物に突き出す。
ボッ
手からもの凄い勢いで火球が飛んだ。
そして、
火球が魔物を焼き尽くした。

37 名前: ◆ZKiCFm8B3o :2006/05/07(日) 02:10:14.33 ID:PqgpVv8d0
今、彼の前には魔物の死骸が大量に転がっていた。
全て焼き尽くされ、肉を焼いた独特の悪臭が広がっている。
もっとだ もっと焼き殺してやるぜ あははははは・・・
大量の死体を前にして彼は興奮に震え、そう思っていた。
彼の手からは絶え間なく火球が飛び出し、
もう既に死んでいる魔物でさえもさらに焼き尽くした。
そして、そこで私は気付いた。
「あ、制限時間がもうねえ」
だが既に、後の祭り、
ドゥルトゥ ドゥルトゥ トゥン♪
独特の音楽と共に、彼は地面から飛び上がり、
画面の前にいる、私の方を見ながら、
地面を突き抜け画面の下に落ちていった。

BAD END



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