【 当たり前のこと 】
◆2tqSUgQkhM




26 名前:No.08 当たり前のこと 1/4 ◇2tqSUgQkhM[] 投稿日:07/07/01(日) 12:43:26 ID:+Xl9deu1
 死ね。死ね。死ね。死ね。
 みんな死ね。
 俺の考えが理解できないやつはみんな死ね。
 理解力のないカスが、目盛の狂った物差しで俺を測る。間違った判断で俺を否定する。
 そんな馬鹿野郎は死んでしまえ。

 しね。しね。しね。しね。
 みんなしね。
 俺の主張を無視したやつらはみんなしね。
 俺のことが嫌いだから。所詮俺が言うことだから。俺の話を聞こうともしない。
 そんな糞野郎はしんでしまえ。

 シね。シね。シね。シね。
 みんなシね。
 否定しかしない脳無しはシね。
 他人の意見を吟味することもなく、頭ごなしに否定する。自分の方が正しいと勘違いし
ている。
 そんな勘違い野郎はシんでしまえ。

 死ね。死ネ。死ね。死ネ。
 だから俺は死ね。
 否定しかしない俺は死ね。
 他人の否定ばっかして、自分の意見を押し付ける。結局自分の正当化もできない。
 そんな馬鹿糞勘違い野郎な俺は死んでしまえ。

                           2000年 10月14日 小山光平




27 名前:No.08 当たり前のこと 2/4 ◇2tqSUgQkhM[] 投稿日:07/07/01(日) 12:43:45 ID:+Xl9deu1
 理解力がなくて、話を聞かない。それで他人を否定ばっかりしている人。
 確かに自己中心的で嫌な人だけど、それでも死ぬ必要はないと思います。
 その前に、すべきことはいくらでもあります。
 自己中心的な自分を正当化するよりも先に、自分を変えることから始めよう。
 光平は自分が間違っていることに気づいているんだから、後はそれを認めること。
 最初は、自分を否定するようで嫌かもしれないけど、大丈夫。別に死ぬわけじゃないん
だから。ちょっと大人の階段を上るだけ。
 もし恐いなら、お父さんとお母さん、それに遥も、皆で支えてあげるから。
 もし今後死にたいと思う事があっても、その時はまずお母さん達に相談してください。
 家族なんだから、私の愛する息子なんだから、全力で支えてあげるからね。

                           2007年 8月10日 小山薫


 生きろ。生きろ。生きろ。生きろ。生きろ。生きろ。いきろ。いきろ。いきろいきろい
きろいきろ!
 死ぬな馬鹿。
 お前が死んだら、残された父さんや母さん、遥はどうする。
 お前は馬鹿野郎だ。他人の気持ちを理解できない、家族の気持ちを無視した大馬鹿野郎だ。
 光平は死んで何も考えずに済むようになるかもしれないが、残された人達が、家族がど
れくらい悲しい気持ちになると思ってる。
 お前と遥は、私と母さんの間に生まれた、最高の宝だ。
 死ぬ自由? そんなものは存在しない。死はいつも強制的で受動的だ。
 いいか、死ぬな。生きろ。
 生き抜け。

                           2007年 8月10日 小山大平


28 名前:No.08 当たり前のこと 3/4 ◇2tqSUgQkhM[] 投稿日:07/07/01(日) 12:44:06 ID:+Xl9deu1

 死ぬとかどうでもいいよ。
 それよりもさ、お兄ちゃん旅行に行く前に私のアイス食べたでしょ?
 死ぬなら、新しいの買ってからにしてよね。
 それまでは絶対に死なないでね。

                           2007年 8月10日 小山遥




 一週間ぶりに帰ってきた俺の部屋は、綺麗に片付けられていた。大学の友達と旅行に行
っている間に、毎年恒例の、夏の大掃除をしたみたいだ。
 床に散乱していたはずの教科書類は丁寧に本棚に収められ、しわくちゃだったベッドの
シーツは、今はシワ一つ無い。大学の教科書で埋もれていたはずの机の上も綺麗に片付い
ており、代わりにB5サイズの紙が四枚だけ置いてあった。
 四枚のうち一枚だけがやけに黒ずんでいた。古臭い紙に、汚い字で書きなぐられた遺言。
俺が中学の時に書いて、結局日の目を見ることはなかった遺書。確か机の引き出しの一番
奥に放り込んで、その後は……。
 遺書以外の三枚は新品のルーズリーフで、父さん、母さん、そして妹の遥の言葉が書か
れていた。

29 名前:No.08 当たり前のこと 4/4 ◇2tqSUgQkhM[] 投稿日:07/07/01(日) 12:44:24 ID:+Xl9deu1
 遺書の中身は、今見ると顔から火が出そうなくらい恥かしい内容だった。そういえば、
当時は周りの皆と上手く付き合うことがでず、いじめられそうになって、死にたいと思っ
ていた頃があったな。結局死ぬ度胸がなくて、自殺はせずに終わったんだけど。
 高校に入学してからは俺も成長して、今では普通に友人関係を築いているが、こんな物
が今更現れるとは。
 俺はベッドに腰掛けて、遺書と、母さんたちからの返事をゆっくりと読んだ。
 七年越しで送られてきた三通の便りを読み終えると、俺の目から次々と涙が溢れ出した。
 馬鹿みたいな内容の遺書に、七年も前のことなのに、馬鹿なくらい真面目に答えてくれ
たことに、胸の奥が熱くなっていくのを感じる。
 俺は涙を拭うと、鞄の中から財布と取り出し自転車の鍵を手に取った。
 とりあえず、近くのコンビニでアイスを買ってこよう。
 極力、交通事故には気をつけて。


おわり




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