78 名前:縞パンとヘソ(1/2) ◆VXDElOORQI [] 投稿日:2007/06/24(日) 23:50:01.96 ID:cFMaua270
妹はソファに座り、窓から空を憂鬱そうに眺めている。
「偉い人は言いました。雨とか死んだほうが良い。と」
また意味不明なことを。
「でも雨降らないと水不足になるぜ?」
「にぃ。それでも私のにぃなの?」
妹は空から視線を俺に移す。呆れたといった表情で俺を睨みつけてくる。
「この私を見てもそう言えるの!」
ソファから飛び降りると、バッと両手を上に向ける。飛び降りた拍子にスカートがふわりと翻る。
「ふむ。水色縞パンか」
「うん。そうだよ。熊さんパンツと迷ったけど今日は縞パンだよ」
妹は両手を上にあげたまま、特に動揺をした様子もなく答える。まあ、いつも見てるからなぁ。
「ところでそれはあれか。元気玉かなにかか。『私に元気を分けてね♪』みたいな感じか」
「違う違う。この私の神々しい姿を見てなにか感じないの?」
神々しい姿と言われても、ただ両手を上に上げてるだけだしなぁ。あ、そうだな。
「ヘソが見えてる」
両手を上げてることによって、シャツが持ち上げられ可愛らしいヘソが覗いていた。
「違う違う。にぃは本当に私のにぃなの? ひょっとして偽者? 背中にチャックあるの?」
「ガハハハハ! よくわかったな! そう! 俺はお前のアニキの皮を被った偽者なのだ!」
「な、なんだってー!」
妹は驚愕の表情を浮かべ、思わず上げていた両手を下ろし、身構える。
「あ、ごめん。この先、特に考えてなかったわ」
「私も」
「で、さっきのポーズはなんだったわけ?」
妹ははぁとため息をつく。
「もうにぃはダメダメだなぁ。どうみても私は太陽の象徴。女神と言ってもいいくらいの神々しさを
放ってたでしょ? それであのポーズはねぇ。太陽を呼び寄せる偉大なポーズなわけですよ」
妹は腕組をしてうんうんと頷いてる。
「神々しさなんて全然放ってなかったけど?」
「あ、雨、止んだ」
俺の話を無視して、妹は窓にがっと張り付くと空をジッと睨みつける。
80 名前:縞パンとヘソ(2/2) ◆VXDElOORQI [] 投稿日:2007/06/24(日) 23:50:47.38 ID:cFMaua270
確かに雨は止み、雲間から日が差してきている。
「それ見たことか! 空を見たまえ! 太陽の女神の力で晴れてきたよ!」
妹はわははわははと笑いながら空を指差す。
太陽の女神か。確かにそうかもなぁ。
俺は妹を見ながらなんとなくそんなことを考える。
「じゃ、私は外に遊びに行ってくるから! じゃあねーん」
妹はそう言うと玄関に向かって走っていってしまった。
あいつの笑顔は太陽の女神の名にふさわしいかも知れないな。
「だっ!」
そんなことを考えていると玄関のほうから変な声が聞こえてきた。
「にぃ、こけたぁ……」
さっきまでの勢いはどこへやら、涙目になって妹は部屋に戻ってきた。
どうやら玄関で転んで膝をすりむいたらしい。
「いたいよぉ……」
「わかったわかった。今、絆創膏持って来てやるから」
泣き顔も可愛いから、雨の女神にも十分なれそうだ。
おしまい