【 女子高生とくるりんパーマ 】
◆cfUt.QSG/2




53 名前:No.15 女子高生とくるりんパーマ 1/1 ◇cfUt.QSG/2[] 投稿日:07/06/24(日) 19:05:54 ID:aLGQ9ld0
「兄ちゃん、その髪型はない」
 梅雨真っただ中の午後。畳にべったりと寝転がり、だらだらとテレビを見ていた俺に、妹がそんなことを言った。
「なんでだよ」
 顔を上げるでもなく、適当に返事をする。
「なんていうか、全体的に。」
 おっと全否定。仕方ないだろう、俺は強度の癖毛で、今日は雨。湿度マックスの空気に大喜びなご様子の我がカールヘアーは、あちこちで飛び跳ねている。
「そんなこと言ったってどうしようもないし」
 気怠く返す俺。
「女子高生の意見は聞いとくべきだと思うなあ」
 そこで初めて俺は体を起こし、そして妹をまじまじとみた。
 高校の夏用制服を着た妹は、身内補正を抜いたとしても確かに大人びて、かつ可愛くなっていた。気付けば胸にも何やらマシュマロ体があるようで、つるんぺたんだったあの頃の面影はどこにもない。
「で、どうしろと」
 妹に問い掛ける。なぜか鼓動が聞こえる。まあどうせ髪を切りに行けと言うだけだろうが。
「だから、私がやってあげる」
 へ? エロゲ展開ですか? ごめん切りすぎちゃったっていうドジっ子とか、胸当たっちゃったとか、むしろ当ててるんだよとか、兄ちゃんのためじゃないんだからとか、実は好きなんだとか……


 ウィーン。何やら不気味な音で、俺は妄想ワールドから引き戻された。
「ほら、これこれ」
 うん、いい笑顔だ親愛なる妹よ。だがその右手に持っている凶器はいただけないな。
「刈り尽くしてあげる。一回やってみたかったんだよね」
 唸るバリカン。弾むスマイル。
「スキンヘッド、きっと似合うと思うなあ」
 いやいやいや。
「さあ兄ちゃん、座ってよ。今ならシャワー付きだよ」
 それは気になるがやっぱダメー。




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