【 パトス・スペル・ルナティック 】
◆aDTWOZfD3M




39 :No.38 パトス・スペル・ルナティック ◇aDTWOZfD3M:07/06/17 17:30:40 ID:bcoanGxO
 呪文フェチ、である。
 何の事かと言えば、我らの性癖が、である。つまり俺達呪文フェチストは女の裸ではなく、例えば女魔術師が呪文を詠唱する姿とか、
女司祭の祈りの声とか、あるいは悪魔っ娘の呪いを唱えるその表情だとかに、たまらない興奮を覚えるのである。無論、性的な意味で。
 まあ、魔法文明が発達して異界との交流も活発化した現在、その手のフェチは珍しくない。女剣士の武装フェチとか、獣人の体毛フェ
チだとか。だが、まだまだ呪文フェチの同志の数はそれほど多くない。やはり、多少Mの素質が必要なのがこの道の愛好者が少ない原因
かもしれない。しかし、それだけに我々『女性の魔法食らい隊』は、一騎当千の精鋭ぞろいであり、さらに鉄の団結を誇るまさにエリー
トフェティストの集団と言えるだろう。我らは集音マイクとビデオカメラ、魔力検出器等の装備に身を固め、新たなフェチの地平を開拓
すべく日夜邁進しているのだ。
 むっ! そんなことを言っている間に、あそこを通るのはどうやら見習い魔法使いの娘さんだ。あの初々しさがまたそそるな。まあ、
使える魔法の価値が低いので、人族の見習い魔法使いはあまり重要視されないのだが、私としてはああいうのも嫌いではないのだ。ちな
みに、この業界では難しい魔術や珍しい呪文の方がより価値が高いとされている。私が見た中で一番凄かったのは女バンパイアの『石化
の呪』で、これは本来はゴルゴンが…… おっと、話がずれた。今は目の前のこの子に魔法を使って見せてもらわなくては。
「すいませんお嬢さん」我々の中で一番のイケメン君にして切り込み隊長の山本君(仮名)が早速話しかける。
「な、なんなんですか? あなた方は」
 む! この声はなかなかの萌えボイス! これはきっちり録音すればさぞかし…………じゅるり。
「実はお願いがあります。私たちの目の前で魔法を使ってみてはくれませんか?」
「ええっ? でも、私は師匠からあまり人前では魔術を使ってはいけないと言われてるんです」
「なあに、たとえ使ってもばれなければ問題ありませんよ。なんかやってみて下さい」
「そ、そんなこと言われても困ります!」
「いいじゃないですか。減るもんじゃなし」そう言って山本君(仮名)は彼女の手に触れようとした。いいぞ、山本君(仮名)その調子だ。
「い、いやー! 触らないでください!」 
 その瞬間、彼女の口から呪文が漏れ出した。ああ……これぞ至福の一時。彼女の可憐な唇が呪文を紡ぎだすたび、我々の脊髄に痺れる
ような快感が……
「へ、変態なんかしんじゃえ! ライトニング!」
 詠唱が終わると、我々の上に轟音と共に雷が落ちてきた。それを食らった瞬間私はとてつもない快感の奔流に包まれた。なんという威
力! オーソドックスな初級魔法だが、これほどの威力はそうは出ない。これはきっと、彼女にとんでもない魔法の素質があるせいに違
いない! 
「これは、是が非でもこれからもこの子をウォッチし続けなければ! 君、名前を教えてくれないか?」
「いやーっ! これだから変態はいやなのよっ! うきーっ!」
 またも我らの上に降り注ぐ雷光! いや〜、ツンデレって、本当にいいものですね。どか〜ん。    (終わり)



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