【 かぐや姫リターンズ 】
◆DppZDahiPc




7 :No.06 かぐや姫リターンズ ◇DppZDahiPc:07/06/16 00:41:40 ID:j9Nnjijy
 かぐや姫の物語から遥か未来のこと、遂にかぐや姫が再来する日が迫っていた。
 これに対して人類側は事前に『龍の頸の玉』『仏の御石の鉢』『蓬莱の玉の枝』『火鼠の皮衣』『燕の子安貝』を用意して
かぐや姫を落とし月との国交開始を企んだのだが。
「ふんっ、この妾が物なんかで釣られますか、恥を知りなさい恥じを。妾の心が欲しいのなら、素敵な言葉を容易なさいっ」
 と言い出したのです。
 これに困った日本政府は、国内から有数の美形と口達者を用意し、かぐや姫を口説くことにしました。
「お前が欲しい、かぐやああぁぁ―――――!!」
「僕は死にましぇんっ」
「ボクに、釣られてみる?」
「駄目じゃ駄目じゃ駄目じゃ、ちぃぃぃとも心に響きませぬ。そのような言葉で、このかぐやが落とせると思うてか」
 三人目まではあっさり一蹴され、残るは二人。
「かぐや姫様、貴方のような美しい人にかける言葉を私は知りません。
流れる髪は天の川、その瞳は月の輝きを凝縮したかのよう、肌は雪のように白く、その均整の取れた御姿は完璧というほかありません。
ですから、私が貴方に言えるのは一つ。かぐや姫様、貴方はお美しい」
 この言葉にかぐや姫の小鼻がひくひく動き頬が桜色になりましたが、それでもかぐや姫の望む言葉ではないようで。
「ふ、ふんっ、そのようなこと知っていますっ」
 そっぽを向いてしまいました。
 かぐや姫のお付の人たちも、これじゃあ無理だなあと撤収の準備を始めてしまい。日本政府の偉い人たちは、がっかりしたように頭を抱えてしまいました。
 かぐや姫の前には最後の挑戦者、彼の言葉に月と日本の国交開始がかかっています。
 さてどうしたものか、彼は汗をだらだらと流し、幾分か青い顔をしています、彼の持ちネタは全て他の人たちが言ってしまったようです。
 それでも彼が何か言わないとこの場は終わりません、なんでもいいから早く言えというムードが漂い始め、彼はやけくそ気味に言いました。
「かぐや姫さん、好きですっ」
 その言葉に彼の仲間たちから月のお付の人たちまでもががっかりしてしまいました、考えてそれかよ、そんなムードが漂い始めたときのことです。
「それじゃあっ」
 かぐや姫は五人目の青年に飛びつき、熱烈な愛撫を捧げました。
 かぐや姫が望んでいた言葉とはなんのことはない、好きだ、その一言だったのです。
『好きだ』という愛の呪文によって開かれた月と日本の国交は長らく続き、人々は繁栄を謳歌しましたとさ。
 めでたしめでたし。



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