105 名前:No.37 魔神見参!!(1/2) ◇gvv9Qu6Mx.[] 投稿日:07/02/18(日) 22:42:39 ID:h9YV0QBh
ごくごく
今日もボクは牛乳を飲む。
ぐびぐび
大嫌いな白い牛汁を、飲む。
ぐっ、ぐぅーっ……ぷはっ!
どうにかして、憎き牛乳を飲み干した。ふと鏡を見ると、鼻の下が白くなっている。
……だから嫌いなんだ。牛乳は。味も嫌だけど。
だけど、飲まなきゃいけない。飲まないと、大きくなれない。らしい。
ボクは小さかった。同年代の子と比べても、明らかに小さい。
それが、悩みだった。
だからこうして、嫌いな牛乳を毎日飲んでるわけなんだけど……
一向に、大きくなる気配はなかった。詐欺か。
ふぅ。とため息をついて、牛乳パックを持ち上げる。すると、あと少ししかないことに気づいた。
この際だから、飲んでおこう。そう思うと、ボクは今しがた空にしたコップに、残りの牛乳を注いだ。
とくとく……つつーっ
案の定、残りは僅かだった。コップの底のほうに少したまって、パックは空になった。
そのとき、異変が起きた。
空のはずの牛乳パックから、もくもくと白煙が立ち上ぼり始めたのだ。
そしてその白煙は、徐々に人の形を成していき――、終いには、太ったおっさんになった。
呆然と立ち尽くすボクに向かって、おっさんは言った。
106 名前:No.37 魔神見参!!(2/2) ◇gvv9Qu6Mx.[] 投稿日:07/02/18(日) 22:43:10 ID:h9YV0QBh
「こんにちは。私は牛乳魔神と申すもの。突然だが、おめでとう」
意味がわからない。おめでとうってなにさ。
そんなボクを尻目に、おっさんは続ける。
「キミは嫌いな牛乳を、毎日毎日飲み続けた。その頑張りが、私を呼び起こしたのだよ」
へぇ。だからなにさ。
「そこで、私からのごほうびとして、願いを一つだけ叶えてあげよう」
な、にぃ!?
衝撃。まさかこんなチャンスに巡り遇えるとは。ボクは即座に、願いを口にした。
「ボクを、大きくしてください!」
「お安いご用さね。それではいきますぞ」
おっさんは何やらぶつぶつと唱え始めた。万物の長たる牛乳神がどうとか、
我が盟約に応えだとか。よくわからないのでスルーしたけど。
すると、ごご、という音と共に、ボクの体が光に包まれた。
そして、むくむくと体が大きくなる、奇妙な感覚。なんだか信じられないけれど、
ボクは確かに、大きくなっている!
そして、光はなくなった。ボクの目線は、さっきよりも随分高くなった。
確かに、確かに大きくはなったけれど――肝心の、スタイルが変わっていなかった。
これじゃあ……これじゃあ……
「これじゃスケールアップしただけじゃないか!」
おっさんに向かって叫んだ。しかしそこにはもう、空の牛乳パックしかなかった。
終い