677 名前:嘘 ◆8fIixx257Y 投稿日:2007/01/28(日) 13:37:30.06 ID:mWFhdDy80
ある所にある町。その町は大きくも無ければ小さくも無い。普通の町である。
その町に一人の少女がいる。年は10才ぐらい。可愛い顔をしており、いつも綺麗な格
好をしている。父親はすでに死んでいるらしく、家で母親と2人暮らしだ。
つねに一人でいる。誰かが遊びに誘う事は多いが、誘われてもする事は1つだけだった。
「私はとっても幸せなの」
少女はそう言って自分の自慢をするだけ。
古い玩具で遊んでいる子を見つけたら、
「私はそんな玩具で遊ばない。だってママに言ったらすぐに新しい玩具を買ってもらえ
るもの」
と言って玩具を見せびらかした。
少し汚い服の子供を見かけたら
「あなたは可哀想。私はいつもこんな綺麗な服を着れるのよ」
と言って着ている服を自慢する。
678 名前:嘘 ◆3s8KlFvUbo 投稿日:2007/01/28(日) 13:38:21.77 ID:mWFhdDy80
そんな事ばかりしているから少女に近付く人はいなくなった。それでも少女はつねに
「私はとっても幸せなの」
と言い続けた。
少しでも劣っている人を見つけると自慢話をした。
しかし少女は日が暮れると全く違っていた。彼女は帰り道を一人で帰った。その顔に先ほどまでの自慢話をしていた顔は無かった。町の外れに彼女の家はあり、その扉をゆっく
りと開けた。
「ただいま」
少女への返事は返ってこない。母親が居ないわけでは無い。母親は朝から酒を飲んでは
酔いつぶれていた。目が覚めても、する事は少女を殴ったり、罵倒するだけだ。少女を愛
する事なんて無かった。それでも少女は母親が好きだった。まだ父親が生きていた頃、母
親は少女を愛してくれた。その思い出があるために少女は母親を嫌いになれなかった。
今よりずっと前、少女はテレビを見ていた。そこに映っていたのは子供を虐待している
母親が逮捕されるというニュース。
679 名前:嘘 ◆X1TTfNI5G6 投稿日:2007/01/28(日) 13:38:50.14 ID:mWFhdDy80
「ママとの事を皆が知ったら、私は一人ぼっちになる。」
それは少女にとって、もっとも恐ろしい事だった。お別れは父親との事でもう二度と体
験したく無いと思っていた。その時から、少女は自分がどれだけ幸せかを自慢し始めた。
そう言っていれば、疑う人は居なくなると思ったから。それにより、町で自分の相手をし
てくれる人はいなくなった。
すぐに問題が起きた。お金が無いので、新しい物なんて何も買えなかった。しかし、
それはすぐに解決した。少し離れた町を歩いている時に男性に話し掛けられた。その人と
セックスすればお金を貰えた。それ以来、少女は夜になるとセックスをした。最初は痛かったが、すぐに慣れた。これでお金の心配も無くなった。そうして、少女はずっと母親と
暮らせるようになった。
そして、少女はこれからも言い続ける。ずっとずっと言い続ける。
「私はとっても幸せなの」
終