【 vipperなら小説書くよな?(156) 】
◆tGCLvTU/yA




262 名前:vipperなら小説書くよな?(156) (1/4) ◆tGCLvTU/yA 投稿日:2007/01/21(日) 23:02:57.02 ID:uSfhTOXl0 「う〜、遅刻遅刻」  今学校を目指して走っている俺は中学校に通うごく一般的な男の子。強いて違うところを挙げるとすれば、 選ばれし者が持つ第三の眼。邪気眼を持っているってことかナ――  登校中。いつも通る公園を急ぎ足で歩いていると、ふとベンチに目が止まった。  ツナギを着た若い男が座っていた。俺はなぜだか、胸のときめきを抑えることができなかった。 「うほっ! いい男……」  そこまで言って俺は口に手を当てて声を抑える。しまった、声に出てしまった。  気まずく男の顔を見やると、突然その男は俺の見ている前でツナギのホックを降ろしはじめたのだ。  最上部から最下部へ一気に降ろされたホック。そしてそのホックの位置からはきのこが覗いている。香りが 良さそうなきのこだ。おそらく松茸だろう。 「たべないか」  きのこ全開で俺にそう問いかけてくるツナギ男。おそらく自動車整備工かなにかだろう。 「たべません」  とりあえず、そう即答した。邪気眼を持つ者にしか分からないだろうが、こいつからは何かくそみそな臭い がするのだ。 「そうか」  ツナギ男は心なしか残念そうにしているが、知ったことではない。こっちも時間が惜しいのだ。俺は早足で 公園をあとにした。そういえばこの公園はハッテン場のトイレがあることで有名だった気がしたがそんなこと はなかった。邪気眼を持つ俺がこの先生きのこるには、危険な橋は渡らないことだ。きのこだけにな。 「じゃあ、電話かけるね。九時までに」 「ええ、かけるわね。九時までに」  教室のざわめきが俺に安堵を覚えさせる。時間との戦いに勝った俺は、ひとまず自分の机で息をついていた。 邪気眼の力で時間を捻じ曲げるまでもなかったな。 「じゃあ、クールちゃんにもかけるよ。九時までに」 「いや、私は結構だ。九時までに」 「そうだ、クールちゃんフヒヒバンクじゃないんだ……じゃあ、かけれないね。九時までに」 「すまない。九時までに」 「いいんだよ、クールちゃんが悪いんじゃないんだから。九時までに」 263 名前:vipperなら小説書くよな?(156) (2/4) ◆tGCLvTU/yA 投稿日:2007/01/21(日) 23:04:29.00 ID:uSfhTOXl0  ――いじめか何かだろうか。会話の内容はいじめそのものだが、雰囲気はそれほど悪くないようである。あ まりジロジロ見ていても気持ち悪がられるだけなので、とりあえず俺はそこでそのグループの観察をやめた。 しかし、なぜ九時があれほど強調されていたのだろうか。  一限、二限、三限、四限、と終えて、ようやく昼食の時間だ。ふう、今日も邪気眼を抑えるのに精一杯で勉強 どころじゃなかったな。その場で軽く伸びをして鞄から弁当を取り出す。ふむ、今日はきのこ弁当か。 「おい、邪気眼」  香ばしいきのこ弁当に箸をつけようとしたその時だった。背後の声に、俺はやむなくその箸を一旦机に置く。  ため息をひとつ吐いて後ろを振り向く。そこに立っていたのは、 「黒田か……なんか用か? あと、邪気眼はやめろ」  黒ぶち眼鏡に、七三分け。絵に描いたような真面目男。髪型をなんとかすれば絵になるとはクラスの女子の 中で専らの噂だが、はっきり言ってそんなことは全くない。俺が思うにこいつはかなりの変人だ。 「悪いな邪気眼。理科室の掃除を手伝って欲しいんだが……」  なんで俺が。とは思うものの、そこは邪気眼を持つ俺だ、声には出さずやんわりと断る方法を考える。俺は 一刻も早くきのこ弁当が食べたいのだ。 「悪いが俺は今から昼飯なんだ。だからお前の要求には――」 「なら、昼飯は理科室で食べればいいじゃないか」  そうか、これは強制イベントなんだな。そもそもこいつは一度言い出したら頑として意見を曲げないので、 最初にターゲットとされた俺にツキなかったと諦めるしかない。こいつの前では俺の邪気眼も形無しだ。 「懲戒……いや、了解」  とりあえず、一緒に食べる約束をしていたやつらに断りを入れておいて、俺は理科室へ向かった。  部屋に足を踏み入れると、理科室独特の薬品の匂いが鼻を少しだけ刺激する。あまり慣れない匂いだ。 「でも、掃除といっても何するんだ」  昼飯を食べてからでいいということなので、俺はとりあえず適当な机に弁当を置いて一人寂しくランチタイ ムを迎える。黒田はすでに掃除を始めている。もっとも、俺が飯を食っているので、ビーカーの掃除などだが。 「うむ、先生に頼まれてな。誰かに手伝わせろと言っていたからお前に来てもらった。まあ、とりあえずいて くれるだけでいいぞ。掃除は俺がやる」  俺は一体何のために来たのだろうか。まあ、掃除しなくていいというのなら我慢しておくか。どっちにして も理科室にはこいつに呼ばれた時点で来ることが決まっていたのだろうし。とりあえず、俺は弁当をゆっくり 食べることにした。 264 名前:vipperなら小説書くよな?(156) (3/4) ◆tGCLvTU/yA 投稿日:2007/01/21(日) 23:05:21.43 ID:uSfhTOXl0  俺が黙々と弁当を食べて、黒田は黙々と掃除をする。とても昼休みとは思えないほど静かな時間だった。俺 なんでここにいるんだろう。帰っていいのかな。 「ん……これは」  黒田が数分ぶりに言葉を発した。 「へえ……あの先生も、なかなか良いものを仕入れてるんだな」  ん、何を言ってるんだろうこいつは。 「ふん、ちょっと具合がおかしいな。ま、授業用には充分か」  目が点になるというのはこういうことだろうか。俺の邪気眼が疼き始めている。共鳴しているのだろうか。 鏡が近くにないから確認できないが、おそらく間抜けな顔で俺は黒田を呆然と見つめていた。 「ふん……ははっ!」  クラスの女子はどうやら見る目がないようだ。これはどう頑張っても絵にならない。俺の邪気眼も、今回 ばかりはお手上げだった。  俺が呆然としているのにもお構いなしに、黒田は掃除、もとい薬品弄りを続ける。最初はビーカー程度の 掃除だったが、段々エスカレートしてきて、戸棚に入っている薬品まで弄り始めたのだ。  そして、戸棚の一番奥にある薬品を手に取った時、黒田の表情は一変した。 「こっ……これは! 先生、一体……なんてものを! なにをしようとしているんだ!」  付き合うのもアホらしくなってきたが、ただ事じゃなさそうな黒田の反応には流石に驚いた。かなりやば そうな黒田の態度に俺はとりあえずその薬品について尋ねる。 「なんだそれ、やばいのか?」  おかしいな。それなら邪気眼が……もうさすがにそれはいいか。 「こんなの黒の教科書の挿絵でしか見たことがないぜ……! それならこっちの瓶はまさか……!」  黒田は大慌てで持っていた薬品を机に置いて、その隣の薬品を手に取った。普通の粉にしか見えなかった が黒田には相当危険な代物に見えるらしい。  黒田は薬品を弄り始めると、神妙に頷き人差し指に薬品をつけてペロリと一口舐めた。 「お、おい! 大丈夫なのか」 「ペロ……これは青酸kエンッ!」  薬を一口舐めると、黒田は妙な叫び声を上げて気絶してしまった。いい加減アホらしくなった俺はため息 をついて黒田を保健室に運んだあと、先生には俺が掃除をしたと報告しておいた。黒田のあだ名はしばらく 薬物くんで決定だな。 265 名前:vipperなら小説書くよな?(156) (4/4) ◆tGCLvTU/yA 投稿日:2007/01/21(日) 23:05:57.60 ID:uSfhTOXl0  騒がしい昼休みがようやく終わり、流れるように午後の授業も終わりを告げる。帰宅途中、俺は今日の黒 田を見て考えるところがあった。 「それにしても」  なんて痛々しさだ。他人から見た俺も、今日の黒田のような感じだったんだろうか。俺は右腕をぐっと掴 む。邪気眼とはそろそろ、お別れかもしれない。 「邪気眼……お前は、どう思う」  邪気眼は、何も応えてはくれなかった。俺は天を仰ぐ。今日の夕日は、一段と目に染みた。  コナン=新一 131 閉鎖まであと 2日と 18時間 2007/01/21(日) 01:50:31.11 ID:bnsker0k0  邪気眼、毒物、阿部さん……この安価はいくらなんでもねえよ……orz 134 閉鎖まであと 2日と 18時間 2007/01/21(日) 02:27:02.98 ID:youseisi0  バカヤロwwwwwwwwwこれはねーよwwwwwwww 137 閉鎖まであと 2日と 18時間 2007/01/21(日) 02:31:22.27 ID:majyokko0  なにこのgdgd感wwwwww 141 閉鎖まであと 2日と 18時間 2007/01/21(日) 02:37:34.97 ID:anaruouji  最後バーローwwwwwwwwwwww 149 閉鎖まであと 2日と 17時間 2007/01/21(日) 03:35:54.87 ID:koumonsan  安価の割りにはまあ、よくやったw 156 閉鎖まであと 2日と 10時間 2007/01/21(日) 10:10:54.17 ID:tyoukaisi  突っ込みどころ多すぎwwwでもおつ  終わり=終了


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