【 チキン 】
◆FVCHcev9K2




219 名前:チキン 1/3 ◇FVCHcev9K2 投稿日:2007/01/21(日) 21:44:54.42 ID:n+sXkas90
 「っな!」思わずのけぞった。
 「なんだよーもう、ここはぬこ画像スレじゃないのかよ。あーもー、気分悪りー」
 休日のvipでぬこ画像を愛でるのが趣味の、独り言の多い痛いヤツ。それが俺。
 加えてチキン。グロ画像なんて耐性まるでナシ。普段ならURLが出てから数分待って他のレスで反応を見てからしか踏まないくらいチキン。
 当然クオリティも低い。安価スレなんて絶対無理だ。電凸なんてありえない。やれることはせいぜいスレで煽るだけだ。
 なのに、今日は油断していた。ああ、不覚。心臓がバクバクいってる。

 「はいはい、グロ画像乙、っと」
 カタタタタっと打ち込む。書き込みを押すと、専用ブラウザが画面を更新した
 俺以外にも何人か引っかかったらしい。それも新着レスを読み込むたび次々増えて行くURLに埋もれていった。
 「……だめだ。どのURLもグロ画像に見えてきた」
 疑心暗鬼に陥ったらもうスレから離れるしかなかった。
 ふと画面上の時計を見やる。もう午後二時近い。昼ごはんを食べていないことに気づいた。
 「グロ画像のせいで食欲は吹き飛んだけど」
 食べないのも嫌だな、と思い、一通りスレタイを眺めてから家を出た。

220 名前:チキン 2/3 ◇FVCHcev9K2 投稿日:2007/01/21(日) 21:45:18.23 ID:n+sXkas90
 車で海沿いの通りを走っていた。助手席には買ってきた弁当と食材。
 まだ、グロ画像の余韻が残っているのか、なんとなく家に直行する気になれなかった。
 「せっかく来たし、ちょっと降りてみるか」呟いて、駐車場に車を止めた。堤防に上って伸びをする。
 気持ちいいのも数秒。潮風はべたつくし、そもそも冬の海なんて寒くてかなわないしで俺は五分もしないうちに帰りたくなった。
 だというのに、奇特なやつらはいるもので、テトラポットと堤防に囲まれた猫の額みたいな砂浜で男女五、六人が集まって遊んでた。
 ケータイで写メとったりして、まったく寒いのにご苦労なこって。若いって良いね。さ、帰るか。
 なんて思いながら堤防から下りて、ポケットから車のキーを取り出したところで後ろから数人の声が聞こえた。

 「「「ぶーーーーーーん」」」

 こwwwれwwwはwww

 根っからのvipperがこんな声を聞いて黙っていられるはずもなかった。
 一瞬の内に脳内変換。認識。⊂二二二( ^ω^)二⊃ ブーンと判別。ktkr!!
 急いで来た道を引き返した。
 出かける前に見ていたスレッドタイトルがいくつか頭をよぎる。
 興奮しているせいか、時間感覚がおかしい。一秒が長い。かと思えば一分が短い。
 頭は興奮で混乱しつつも俺は戻ってきた。そして。

221 名前:チキン 3/3 ◇FVCHcev9K2 投稿日:2007/01/21(日) 21:46:00.94 ID:n+sXkas90
 「よっしゃ、やっぱりあったwww書き込んだろwwww」
 リアルで知らないやつらに話しかけるなんて俺には出来ない。
 チキンでクオリティの低いvipper。それが俺。





BACK−ようこそ未知の世界へ ◆jrB.T2zrrI  |  INDEXへ  |  NEXT−さしのべた手を取り走る者 ◆D7Aqr.apsM