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◆ThH5IIjnMM




601 名前: ◆ThH5IIjnMM 投稿日:2007/01/20(土) 01:01:18.45 ID:zZVD9Saj0
文字通りのチンピラだった俺に、あいつは眩しすぎた。
才能に溢れ、自分の好きなことを好きなようにしていたあいつに俺は不釣合いだった。
なんてことをあいつに言うと、決まって「君は君なんだからそんなこと気にしないで」と、
いってくれた。
けど、その言葉すらあの時の俺には苦痛だった。
どうしようもない苛立ちをあいつにぶつけたりもした。けど、あいつは俺がどんなことを
しても、ただ笑って俺のこと見てくれた。けどあの時の俺はそのありがたさに対してもし
ょうもない意地を張り、素直にその言葉を受け取ることが出来なった。
うるさい! そう怒鳴り返して、あいつを黙らせる日々。
せっかく俺のためを思って言ってくれた言葉も俺は受け取ろうとはしなかった。そして、
つめたい風が吹く冬のある日、あいつはいなくなった。
かなしいとは、なぜか思わなかった。ようやく俺の影を大きくする光は消えた。これで、
くらやみの中で暮らせる。そう光が無ければ影は出来ないのだから。



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