【 三分の使い道 】
◆m7Xws6/i2A




314 名前:三分の使い道1/2 ◆m7Xws6/i2A 投稿日:2007/01/07(日) 19:07:17.63 ID:cwL7S4VAO
自分の人生が残り三分と聞けば一体、人はどうなってしまうのだろうか。
慌てるだろうか、泣き叫ぶだろうか?

「貴方の命は残り三分です。この三分間の行動は死んでからの選定には関係無くなります。貴方のしたい事をして下さい。」
頭の中に響く声はさらっと絶望を突き付けた。男は呆然とし、ただ一思いに走り出した。
嘘かも知れない、しかし本当に残り三分だったら?
男は走った。やり残した事があるのだろうか、彼は一心不乱に走った。
振り向く事なく、迷う事も無く、ただ一点を見つめ。男は他人が止めようとするのを振り払い、全ての力で駆け抜ける。
普段使わなかった筋肉は悲鳴をあげ、肺は破裂しそうになった。
喘ぎながら彼は目的の場所に辿り着いた。
その時、一発の銃声が轟き、腕が衝撃と共に熱を帯びた。そして、痛みが走る。
二発目の弾丸は胸を貫いた。しかし、彼は結果を出した。
三分きっかりで彼は死んだ。



315 名前:三分の使い道2/2 ◆m7Xws6/i2A 投稿日:2007/01/07(日) 19:10:03.88 ID:cwL7S4VAO
そして、その一部始終を見ていた女性が書類を書き上げ、彼女の上司に書類を渡した。
「やはり、こうなりましたね」
「彼ほどの人間ならば何か違った行動をしてくれるかと思ったが」
彼女の上司は書類に目を通しながら溜息を吐き出した。
「十人中九人が彼と同じ結果を出しましたよ。これで選定するとすぐにパンクして非難を受けますよ?」
彼女は面倒臭そうに上司に告げた。
「仕方無い」
それだけ言うと上司は仕事を始めた。
その様子をしばらく見て彼女は自分の部屋に戻った。
「仕事を減らす為、死ぬ事を三分前に教えてその行動で行き先を決めようなんて……。」
彼女は溜息をつきながら椅子に座り目の前のモニターの電源を入れた。
画面には、青色の球に紅い斑点が出たり消えたりを繰り返す映像が流れた。
「あの人も急に忙しくなれば、少しは馬鹿な考えも止めるでしょ」
彼女は画面を見つめ少し笑った。

ある国の大統領がいきなり放ったミサイルは戦争を呼び、世界中に戦禍を広げ第三次世界大戦となった。
死者の数は数億人と言われており、戦火は今もなお広がっている。





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