【 三分間の決斗 】
◆7CpdS9YYiY




290 名前:三分間の決斗 ◆7CpdS9YYiY 投稿日:2007/01/07(日) 16:53:02.38 ID:LenR9WxF0














                           安藤百福氏のご冥福をお祈りいたします。【03:00:00】















291 名前:三分間の決斗 ◆7CpdS9YYiY 投稿日:2007/01/07(日) 16:53:32.55 ID:LenR9WxF0
 男は、ケトルを傾けてお湯をそれに注ぎだす。(03:14)【02:56:86】
 気配を感じて正面を見ると、険しい顔をした女がこちらを睨んでいた。(04:39)【02:52:47】
「本当に、私を捨てるの?」(02:55)【02:49:92】
お湯を注ぎ終えてケトルをテーブルに置いても、男は無言だった。(12:81)【02:37:11】
「ねえ、カップラーメンなんかどうでもいいでしょ? そんなものより──」(07:03)【02:30:08】
「カップラーメンじゃない、カップヌードルだ。それにお前はカップヌードルの真の価値を理解していない」(12:34)【02:17:74】
 あからさまにプライドを傷つけられたらしく、女の顔がくしゃくしゃに歪む。(01:79)【02:14:95】
「そう、私よりもカップラーメンのほうが大事なのね?」(4:57)【02:10:48】
「カップヌードルだ。大事なのはそこだ」(03:00)【02:07:48】
 女は何かをこらえる様にわななき、そして、震える手で懐から文化包丁を取り出す。(07:20)【02:00:28】
「ばっ、ばば馬鹿にすんじゃねーわよ!」(03:19)【01:57:09】
 その言葉とともに突き出されたステンレスの研ぎ澄まされていないプレス刃は、一直線に男めがけて突進する。(00:36)【01:56:73】
 男は咄嗟に白い逆円錐台形の容器を掴み、後方へ飛びすさる。(00:30)【01:56:43】
 女はそれを正確に追い、再度包丁を男へ差し向ける。(02:57)【01:53:86】
「くそっ!」(00:85)【01:53:01】
 男は舌打ちして包丁を素手で掴み、その刃を一息で圧し折る。(03:39)【01:49:62】
 だが女の勢いは止まらない。折れた包丁の残り半分を、そのまま男に突き刺す。(02:17)【01:47:45】
 ごふ、とくぐもった息を吐き、男は床に崩れた。(06:33)【01:41:12】
 女はさらに飛び上がり、男の身体に膝を叩き込む。(01:23)【01:39:89】
 そして、男に馬乗りになった女は背をのけぞらせて包丁を振りかぶる。(02:00)【01:37:89】
「いや、待て、待ってくれ。せめて──」(04:56)【01:33:33】
 男の振り回す手は撥ね退けられ、その手に持ってた熱々の容器は床に落ち、倒れたそれからは茶色に濁った液体が
どくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくと流れ出して小さな水溜りをつくり、濃厚な匂いが部屋に充満し、
女は「このこのこのこのこのこのこのこのこのこのこのこの」などとのたまいながら、刃の欠けた文化包丁、百均で買った安物を
何度も何十度も男の胴体に突き刺した、ぐさぐさずぶずぶと不気味な音を立て、赤黒く光る刃は激しくピストン運動を繰り返し、
恥ずかしげもなく撒き散らされた男の血潮は血の海を作り出して熱いスープの海と交わった。(93:33)【00:00:00】

292 名前:三分間の決斗 ◆7CpdS9YYiY 投稿日:2007/01/07(日) 16:54:06.05 ID:LenR9WxF0
 男はがば、と起き上がり、上に乗っている女を弾き飛ばす。その勢いに、女は天井に叩きつけられた。(03:00)【-00:03:00】
「スープは地に流れたのか……?」(03:00)【-00:06:00】
 天井に張り付いたままの女、建築構造物それ自体にめり込んだ背中の皮膚は無残にも破け、粘りのある液体が女と天井を辛うじて接着していた。
女はその奇妙な体勢のまま、男を虚ろな目で見下している。(10:00)【-00:16:00】
「だが、まだ遅くはない」(03:00)【-00:19:00】
 男は風のような速さで台所に駆け込むとケトルに水を入れ火をつけ、そしてマッハで戻ってくるとその超音速が生み出す
ソニックブームによって部屋の中のあらゆる物は宙に飛び散りばらばらに分解され、女もその衝撃波に巻き込まれ
ずるりべちゃと床に墜落し、だがそこに男の蹴りが飛んできて女の顔面は陥没し、そのごたごたで天井に空いた穴から
階上の部屋のヤクザが所有している陸奥守吉行(模造刀)が振ってきて女の胴を串刺しにし、女はびくびくと解剖ガエルのように痙攣し続ける。(153:30)【-02:52:30】
「しかしお前も馬鹿なことをしでかしたもno
だ。やはり女子供にはカップヌードルの価値は分かるまい。
あれこそは文明が生んだ芸術だ。理性の輝きが光る一,五カラットのダイヤモンドだ。それがなぜ分からない。
だが今となってはそれもどうでもいいことだ。俺はカップヌードルが好きだ。お前より好きだ。お前とは遊びだったんだ。
大人しく縁を切っていればこんな結末など迎えなくとも済んだというのに」(01:03)【-02:53:33】
 ぴいいい、とケトルの口が笛を吹き、お湯の沸騰したことを男に知らせる。(01:00)【-02:54:33】
 男は、む、いかん、とつぶやき、時間を逆行させる。(-82:00)【-01:32:33】
 男は床のカップヌードルの容器を拾い、スープがほとんど流れ出ていることを確認する。(15:00)【-01:47:33】
 キッチンからケトルを持ってくる。(13:00)【-02:00:33】
 男はそこに湯を注ぎ、八分待ち、その湯を流した。(500:00)【-10:20:33】
 男はそこに湯を注ぎ、八分待ち、その湯を流した。(500:00)【-18:40:33】
 男はそこに湯を注ぎ、八分待ち、その湯を流した。(500:00)【-27:00:33】
 それからさらに三分待った。(180:00)【-30:0033】
「女子供にはカップヌードルの価値は分かるまい。見よ、これがカップヌードルだ」(30:00)【-30:30:33】
 もはやぴくりとも動かなくなった女は、乾き始めた血溜まりの中、かっと見開いた目でそれを見た。
白い逆円錐台形を片手に持った男が、ベルトを緩めてズボンとトランクスを床に落とすのを。(03:00)【-30:33:33】


「…………はぁー、はぁー、ふぅぅぅぅ……お、おぅ──うっ!」(180:00)【33:33:33】

293 名前:ハウス巨峰 投稿日:2007/01/07(日) 16:54:34.02 ID:LenR9WxF0














                           FREEDAM。自由を、掴め。【-33:33:33】
















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