【 ××××はこうしてできた? 】
◆WLl5uezJaA




158 名前:××××はこうしてできた?(1/4) 投稿日:2006/12/03(日) 22:18:16.65 ID:id3+vB+z0
公園で友達と遊んでいると、急におしっこをしたくなった。
「ちょっとトイレ行って来る。」
俺はそう友達に言い残して走り出した。
一番近いと思われる公園のトイレへ駆け込もうと入り口の扉を開ける…あれ?ここ扉なんてあったかな。
前使った時は扉なんて…。そう思いながら開けた扉の向こうには、奥に扉がある。
トイレと思って入ってきたところは小さな部屋。

でも入り口の横にはちゃんとトイレのマークが書いてあったはずだ。あれ、扉に何か書いてある。ええっと…
「『この先、13歳以上の人間の立ち入りを禁ずる。13歳以上の人間は後ろのドアより立ち去ること。』…はぁ?」
何だこれ?後ろのドアって今入ってきた、あれ?ドアがない!これじゃ帰れないじゃないか!
まぁ幸いにも俺は11歳で、先に進めるから問題はないけど。
もしも13歳以上の人間が入ってきた時はこれじゃ帰れないけど、どうするんだろう?
そんなことを考えつつドアを開けると、そこはまた奥に扉がある小部屋だ。

うんざりしながらその部屋にはいると、前の部屋と同じく、また扉に何か書いてある。
「『この先、女の立ち入りを禁ずる。女は後ろのドアより立ち去ること。』…何がしたいんだ?」
意味がわからないが、少なくとも俺はれっきとした男なのでためらいなくドアを開ける。
そしてやはりまた扉がある。ため息をつきながら部屋にはいると、また扉に何かが書いてある。
「『この先、服を着ることを禁ずる。服を脱いで扉をくぐること。』…おいおい。」
これを書いた奴は何を考えているんだ?というか俺はトイレに行きたかったのに何でこんな所にいるんだろう?

とりあえず服は脱いだが、恥ずかしいので気休めにとパンツだけははいたまま扉をくぐることにする。が、扉が開かない。
「まさか服を全部脱いでないからか?カメラでもつけて見張ってるのか?」
こんなからくり空間を作った奴の気が知れないな、などと思いながらも仕方なくパンツを脱ぐ俺。

そして扉を開けるとまたそこには扉が………なかった。

159 名前:××××はこうしてできた?(2/4) ◆WLl5uezJaA 投稿日:2006/12/03(日) 22:18:50.44 ID:id3+vB+z0
扉を開けたその先にあったのは広い部屋。もっと具体的に言えば、同い年ぐらいの女の子の部屋だろうか。
いや、俺そんなところ入ったこと無いから分からないけどさ。
人形がたくさんあって部屋全体がピンクといったら、まぁ女の子の部屋だろう。
普通の女の子の部屋とは思えない広さと、理科で使う実験道具みたいなあれらは除いてな。

「どちら様〜?」
奥の棚の影から出てきたのは俺と同じ年くらいの女の子だった。金髪で碧眼のかわいい女の子だ。
何故か部屋の中なのに帽子を深く被っている。俺に気付き目を見開いて俺の事を見ている。
まぁ確かに急に知らない人間が入ってくれば・・・ってそうだ!俺今裸じゃねーか!これではただの変態だよ俺!
やばいどうしよう、なんてことを考え慌てていると女の子がおずおずと口を開けて言った。
「あの、えーっと、どちら様でしょうか?」
落ち着け、落ち着くんだ俺。まずは落ち着いていきさつを話さなければいけない。
「あー、べっ、別に怪しいものじゃないんだ。俺はトイレに入ろうと思ったらいつの間にかこんな所に。でね、うーんと…。」
「あ、えっと、トイレならあの扉です…。」
女の子が1つの扉を指さした。
「あ、ありがとう。」
ここはおとなしくトイレに待避しよう。
途中で一時忘れていたが俺はトイレに行こうとしていたんだ。正直もう我慢の限界。
用を足してひとまず落ち着こう。そしてその後理由を話そう。
そうすればきっと分かってくれる…かな?着る物も借りれるかな。
少女に言われた扉を開けると、そこはれっきとしたトイレで安心した。すでに素っ裸な俺はそのまま放尿を開始して、目の前の光景に驚く。


周りの壁が一気に崩れ落ちた。

目の前には先ほどの女の子が立っていた。
帽子を脱いでいる彼女の耳は何故かすこし尖っているように見えて、にやりとしたその表情は先ほどの少女とはまるで別人のようだ。

そして俺に何かつきだしたかと思うと、それが急に強く光り――

160 名前:××××はこうしてできた?(3/4) ◆WLl5uezJaA 投稿日:2006/12/03(日) 22:19:08.66 ID:id3+vB+z0
――私の杖の先から出た光は、先ほどきた少年を見事に石に変えた。
「よし、成功!ちょっと手違いで少し大きさが変わったけど、いいかな。」
受話器をとり、私の大好きな人に電話をかける。

「はい、もしもし。××ですが。」
「ハロローン。あたしだよ。電波悪いけど今どこにいるの?」
「え、今?ちょっと見晴らしの良いところー。」

また散歩か。散歩といってもとんでもないところまで行くからな、こいつは。
「そう。それでね、前あんたが言ってたもの、手に入ったわよ。」
「えっ、本当に?わざわざ探してくれたんだね。ありがとう。」
「べ、別にあんたなんかのためにわざわざ探したんじゃないわよ!たまたま見つけたから手に入れておいただけ!それでどうすればいいの?コレ。」
「ああ、そうだ。良いこと思いついたよ。それ、今僕がいるところに持ってきてくれないかな?君は飛ぶの上手だし、力もあるからさ。場所は―――。」

161 名前:××××はこうしてできた?(4/4) ◆WLl5uezJaA 投稿日:2006/12/03(日) 22:19:25.31 ID:id3+vB+z0
「で、なんでこんな所に持ってこさせるのよ?」
真下に川の見える絶壁。こいつはどうしてこんな所に来ていたのか?まぁ別に何も考えていなかったのだろう。

「いや、それはともかくさ。あんたねぇ、『君は力もあるからさ』なんて女の子に言うセリフじゃないでしょ!」
「でもさ、前に僕が変な人にからまれた時、君がすっごいマッチョになってたすけ」
「あ゛ーもう!それは言わない!あの時は助けなきゃって思って焦って魔法使ったから!別に実際にあんなにマッチョなわけないでしょ!」
「うん、でもあの時は本当に助かったなあ。」
何にこにこしてるんだよ。お前のそういうところが、そういうところが…だな、ええっと。

「あ、それでそれをここに置いて欲しいんだ。正面をあっちに向けて。」
こんな崖の側に置いてどうするんだ?突き落とすのか?
私が魔法を使って、石になったものを言われたとおりにおく。
「こう?それでどうするの?」
「これに僕がちょっと魔法をかけると…。」
「……は?あんた何やってんの?」




こうしてできたのが徳島県祖谷渓にある、かの有名な小便小僧である。

(この話はフィクションです。実在する地名や史実などには一切関係ありません。)


「で、なんであんたはこんな物が欲しかったの?」
「いや、この前ブリュッセルに行った時に見た小便小僧がなんだかかわいいなーって思って、それで同じような物が欲しくなってさ。」
……こいつの好みはよくわからない。



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