【 愛のバクダン 】
◆qwEN5QNa5M




15 名前:NO.4 愛のバクダン (1/4) ◇qwEN5QNa5M 投稿日:06/10/29 22:33:26 ID:nOeZ2hNy
「お前だけは絶対許さないからな」
俺は今まで冒険をしていた。
住んでいた村が、大魔王ゴージルによって破壊されてしまったからだ。
ゴージルはやがて世界を支配した。
そして俺は平和を取り戻すため、ゴージルを倒す旅に出た。
城に入り込み、ついにゴージルの元へたどり着いた。

「名もない戦士であるお前に何が出来るというんだ?」
俺はそもそも戦士なのかどうかすら分からない。
村は平和だったので争いなんて無かった。
「ダメかどうかなんて、やらなければ分からない!!」
俺は数々の街の人に支えられ、ここまで来ることができた。
正直ここまで来れるとは思わなかった、だから今はこいつも倒せる気がする。
「いや、そんな事は無い、何故なら俺はこの世で一番強いからだ。
 そしてお前らは弱い。あの村を潰すのは俺には簡単すぎた」
あの時生き残ったのは俺と村長の二人だ。
村長も酷い怪我を負っていて、村長は俺に「ある物」を託して死んでいった。



16 名前:NO.4 愛のバクダン (2/4) ◇qwEN5QNa5M 投稿日:06/10/29 22:33:57 ID:nOeZ2hNy
「確かに村は壊れたが、俺はここにいる。
 お前の手下はみんなぶっ飛ばしてやったよ。死んだのもいたんじゃないかなあ」
俺はここに来るまで沢山の敵と戦い、そして倒してきた。
「あんな弱い奴らを倒したくらいで偉そうにするな。
 俺はこの世界を支配している「地上の神」だ。お前は俺の前で葬られる、それがお前の運命」
一見ギャグみたいなこの言葉も、
今の俺には怒りを更に増させる台詞でしかない。
「言ったな? 確かにそうかも知れない。だが、お前は神じゃない。悪魔だよ、悪魔」
「マジでそう思ってるのか? なら、ありがとう、感謝するぜ。
 悪魔でも神でも、俺が「凄い」ということに変わりは無い」
ダメだ、こいつは狂ってる。

「いいよ、この際どっちでも。そろそろ下らない言い争いはやめよう」
そう言った瞬間、ゴージルの腕から発射したビームが
俺の左腕を切り落とした。
「うはっ、落ちた落ちた。俺は容赦はしないからな。
 もう片方の腕も落としてやろうか? それとも首行っとく?」
血がドバドバ出ているが、なんとか立ってはいられるみたいだ。


17 名前:NO.4 愛のバクダン (3/4) ◇qwEN5QNa5M 投稿日:06/10/29 22:34:23 ID:nOeZ2hNy
「くっ……。
 だがお前が偉そうにしてられるのも今日までだ。
 何故なら俺はお前を倒すための武器を知っている。
 そしてそれは俺が持っている。このポケットの中にな……」
村長が死んだ時に渡されたのは一つの武器だった。
それはゴージルを倒す事が出来るこの世界でただ一つの武器だ。

「何!? まさかあの武器をお前が持っているのか……?」
「かもな、もしかしたら違うかもしれない」
村長の最期の時、俺はゴージルと村長が親子であることを知った。
またゴージルは「愛アレルギー」であり、
愛を与えると狂って、その量が多いと死んでしまうらしい。
村長はゴージルが狂って暴れ出すのを恐れ、ゴージルを山に捨ててしまう。
しかしゴージルは生き残って、成長したゴージルは自己満足で
父親である村長の住む村を破壊してしまった。
そして俺は右のポケットからその武器を出した。
手榴弾の形をしているが色がピンクなのが特徴。
ゴージルは急に慌てだした。
「嫌だ……やめろ! やめろぉ!!」
「お前を倒すための武器……行くぜ、『愛のバクダン』!!」


18 名前:NO.4 愛のバクダン (4/4完) ◇qwEN5QNa5M 投稿日:06/10/29 22:34:47 ID:nOeZ2hNy
「『ン』で終わったからお前の負けな」
「あっ」
「もう『ロールプレイングしりとり』も飽きちゃったよ。
 もっと面白い暇つぶしないの?」
「無いな……」

終わり



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