307 名前:品評会作品 末路1/4 ◆ozOtJW9BFA 投稿日:2006/10/07(土) 17:00:47.56 ID:f1VjfVIN0
俺はテロリスト。
今日も警察官にヒザカックンをするという、爆発的なテロを起こしたところだ。
俺はこの国の未来を憂い、しかしそれ以上になにか大事件を起こし歴史に名を刻みたいという思いのほうが強い。
最近は仲間が集まらず、単独でのテロが多かったため、あまり成果は出ていない。
「明日はビルの印刷機のコンセントでも抜きに行くか……」
俺はいつも寝る前に、国を転覆させるほどのテロを思いついてしまう恐ろしい才能を持っていた
「それとも交番の前にチョークで落書きしてやろうかな……」
――俺はこのようなテロ行為を二年ほど繰り返し、あることに気づいたのであった
「俺のやってることは小さかった!!! 」
その瞬間とてつもなく恥ずかしくなったが、俺はくじけない。
俺は、テロ組織のアジトに行った。
このテロ組織は大きくはないが、やってることが過激で有名だ。
門の前には銃を抱え覆面をつけた男が二人門番にいて、俺は今すぐ家に走って帰りたい衝動に駆られた。
俺が門の前でおどおどしてると門番が近寄ってきた。
「おいモヤシボーイ。こんなところに何しにきたんだ?」
俺は勇気をふりしぼって
「入隊希望なんですが、使ってくれますか?」
と言った。門番の二人が顔を見合わせた後、大きな声で爆笑した。
「フハハ!!! お前のようなモヤシがうちの組織に入るってぇ?」
門番はそういった後いきなり顔を豹変して
「小さい組織だからってなめてんのか ?」
俺はその瞬間小便を漏らした。門番はそれを察したのか呆れて持ち場に帰ろうとした。
308 名前:品評会作品 末路2/4 ◆ozOtJW9BFA 投稿日:2006/10/07(土) 17:02:37.45 ID:f1VjfVIN0
「俺はこの世界に名を轟かす男だ!! 今すぐボスに会わせろ!!!」
俺は叫んだ。もう自分でも何を言ってるか訳がわからなくなっていた。
門番はキョトンとした顔でこちらを見た後、また顔を合わせて大爆笑を始めた。
「そこのお前大した度胸だ、中に入れ」
アジトから一人の男が言った。男は知性的でどうみてもテロ集団の一員には見えない。
「俺がこの一味を統帥する、マケンジーだ。お前は野心家の眼をしてる。下っ端だが置いといてやろう」
俺は唖然としていた。だが、俺の人生は今始まったとも言えるかもしれない。
――そして俺は入隊した。
入隊して初めて実銃を持ったし、実弾を撃った。
そして、数日したら人を殺した。
毎日頭の中を真っ白にしなくては気が狂いそうな日常。
そして数ヶ月を過ぎたころ、俺はある野心を抱いた
「マケンジーを殺して、俺がこの集団を率いる。そして俺が世界を変えてみせる」
どうもマケンジーは、過激なことはするが、あまり強行をしないので、一部の部下からは人気がなかった。
俺はマケンジーの忠実な部下として、着実に出世をしていった。
そして数年が過ぎ、俺は幹部となり、機は熟した。
309 名前:品評会作品 末路3/4 ◆ozOtJW9BFA 投稿日:2006/10/07(土) 17:03:10.79 ID:f1VjfVIN0
マケンジーを殺した。
驚くほどマケンジーは脆く、銃弾を数発打ち込んだら絶命した。
俺は組織のトップに立ち、マケンジーの時とは一転して、過激なテロばかりおこした。
時には、自爆テロを命じ、時には要人の暗殺など、俺らの組織の名前がニュースに出ないことはないほどテロを起こしまくった。
俺がトップに立ってから数ヶ月。
俺がアジトの地下でテロの報告を聞きつつ、ワインを飲んでいたら突然銃声が鳴り響いた。
「アジト内での発砲は禁止だろうが!!!」
と側近に言い、側近はスススと身を引き階段を上り注意しに行った。
しかし、側近が注意しに行ったきり帰ってこないし、銃声も止まない。
おかしいと思い無線で、門番に交信しても返事はない。俺は嫌な予感がした。
そして、予感は的中した。武装警察が乗り込んできたのであった。
俺の組織は媒体が小さい組織だったから、人数は少ない。警察はあっという間に
俺の部屋の直前までやってきていた。
目の前が真っ暗になる思いがした。わざわざマケンジーまで殺しトップを奪い取ってのにこの一事で全てが白紙になってしまった。
俺は部下を置き去りにして地下から脱出した。
「俺は生きなくてはいけない。俺にはまだやらなきゃいけないことがあるんだ」
そうつぶやいたときにはすでに地上で、地位も権力も仲間も全て失ってしまった。
――指名手配されてしまったので迂闊に町を出歩けない。
町外れの古屋で、震えている毎日になった。
「俺は世の中を変えることができないのか……いや、やってやる……やってやるぞ!!」
俺はそう思った瞬間、家を飛び出て拳銃を抱えて空港に走った。
ハイジャック。もう俺にはそれしかない。俺はそこで死に、名を刻む。
310 名前:品評会作品 末路4/4 ◆ozOtJW9BFA 投稿日:2006/10/07(土) 17:04:43.25 ID:f1VjfVIN0
飛行機内。無事に潜入し飛行機は離陸を始めた。
一時間がたった頃、俺は機長室の前に立ち呼吸を整えている。
そして、ドアを蹴破った。
「お前ら! まず伏せろ! 操縦桿を俺に渡せ!! さもなければ撃つぞ!!」
機長や副機長はあっけなく伏せ、俺は操縦席に腰を下ろした。
しかし……ハイジャックは成功したが、俺は飛行機を操縦できない。
いまさら機長に座らせてまた操縦させるのは、無線で連絡されたり
危険そうなので、俺がやるしかない。
もう俺はやけくそになっていた。
市街のどこかに落ちればそれなりの成果は出るだろう。
「ウォォォォ! どっかに落ちろォォォ!!!」
操縦桿を思いっきり引き、飛行機は急角度に落下した。
ザパーン!!!
落ちたところは海だった。しかも乗客・乗員は全員無事。俺も生き残ってしまった。
もう俺は捕まり絶望したが、また再起を図ろうと必死に監獄内で考えた。
しかしそれも終わり。俺に下された判決は死刑であった。
終