117 名前:選択の時(1/2) ◆VXDElOORQI 投稿日:2006/10/01(日) 23:56:53.71 ID:1To6gIEg0
不用意に開けてしまった扉。それは絶望の世界に繋がる扉かもしれない。
そのことを俺は知らなかった。そうこの扉を開けるまで。
重苦しい空気が流れるこの場所で俺の頬に一筋の汗が伝う。
何故、こんなことになってしまったのか。
俺が確認を怠ったせいなのか。それとも相手のミスなのか。それはわからない。
いや、今はそんなことを考えていてもしょうがない。自分の愚かさを呪うのも後回しだ。
いくら原因を探ったところで結果が、この現状が変わるわけではないのだから。
それよりもこれからのことを。この状況の打開策を考えなくてはならない。
幸い相手もまだ状況を把握しきれていないようで、行動に移ってはいない。
相手が行動を始まる前に、俺が行動に移らなければならない。
俺はこの危機的状況に思考停止していた頭を無理矢理動かす。
ここで誤った行動をすると大惨事になりかねない。
慎重に、かつ迅速に次の行動を決めなければならない。
必死に頭を働かせ俺は一つの結論を導き出した。
もはやその結論に頼るほかなかった。
他の可能性を導きだし、じっくりと検討したいところだが、悲しいかな俺には時間がない。
時間が経てば経つほど俺の状況は悪化の一途を辿るのは、火を見るより明らかだ。
だが、これで本当にこの状況を打開できるのか。他の可能性を探るべきではないのか。
どうすればいいのか、自分でもよくわからない。
この選択に俺の運命がかかっていると思うと、どちらの選択も間違いに思えてしまう。
実際、どちらも間違いなのかもしれない。
だがこのまま考えていても埒が明かない。
俺は意を決してそれを実行することを選んだ。
118 名前:選択の時(2/2) ◆VXDElOORQI 投稿日:2006/10/01(日) 23:57:25.55 ID:1To6gIEg0
この間、約三秒。
選んだ選択肢を俺は実行に移した。
「そ、その青の縞々パンツ似合ってるね」
俺が導き出した結論。それは『とりあえずごまかす』であった。
言った瞬間、致命的なミスを犯したことに俺は気付いた。この台詞は明らかに逆効果だ。
その言葉を聞いた相手。
つまりズボンを下ろし、パンツに手をかけている状態で固まっている妹は、唖然とした表情を一変させた。
そして怒りと羞恥に顔を赤く染め、フルフルと体を震わせ始めていた。
「お、お兄ちゃんのバカー! 出てけー!」
そう叫び、トイレにあった洗剤やら予備のトイレットペーパーやらを手当たり次第、俺に投げつけてくる。
我に返った俺は結局逃げるという選択肢を選び、一目散にトイレ前から逃げ出した。
背中に妹の罵声と、襲い来る飛来物を感じながら、俺は心の底からから思った。
(縞パンサイコー)
おしまい