【 目覚めよニッポン! 】
◆qwEN5QNa5M




954 名前:目覚めよニッポン! 1/4 ◆qwEN5QNa5M 投稿日:2006/09/24(日) 23:52:23.42 ID:TSPeVCh10
「2010年から地上デジタル乾電池が使われます! 
 今までの電池は使えなくなるので、交換はお早めに♪」

ある日広告をやっていた。
なんだよそれ。
移行する意味あるのか? と思ったら、
ただの地上デジタル放送のパロディだった。 移行はしないらしい。
バイト仲間に聞くと、
「凄いんだよ。脳にガツーンと来る感じ」 と言われた。
はい? 意味が分からないんですけど。
「ま、とにかく使ってみれば分かるよ」

帰りに地上デジタル乾電池を買ってみた。
リチウム電池もあったので一緒に買ってきた。

「買ったはいいけど、リチウム電池とか使うアテが無いな」
しょうがないので、箱をガチャガチャ漁ってると「デジアナモン」が出てきた。
流行ったのは十年ぐらい前だっけ?
親にねだって買ってもらったなぁ。
そういえばこれはその電池を使うんだっけか。
「デジアナモン」に地上デジタル乾電池を入れて、付けてみた。
「ま、普通に付くだけだよな。
最初は赤ちゃんの状態から始まる。
エサをあげて、放っておくことにした。

今度は乾電池を目覚まし時計や懐中電灯に入れた。
そして懐中電灯を付けた。

「うわっ!!!」

955 名前:目覚めよニッポン! 2/4 ◆qwEN5QNa5M 投稿日:2006/09/24(日) 23:52:59.97 ID:TSPeVCh10
物凄く強い電気が付いた。
これまた十年ほど前に流行った「レーザーポインター」を思い出した。

そして、もう電池を入れるものが無くなったので寝る事にした。

……………………

ここは処刑場。
王様は俺に言った。
「そこに二つボタンがある。
 正解を押したら釈放してやろう。
 しかし、間違いを押したらお前はここで公開処刑」
「俺が何をしたって言うんですか!!」
「うるさい! とにかくこの先は通さねぇぜフェイク野郎!」

ちくしょう、俺が何をしたって言うんだ。
周りの群衆も押せ押せ言ってるし。
良く分からないが、俺にはスイッチを押すときが来たみたいだ。
直感に全てを託した。 よし、右だ。

俺は静かに右のスイッチを押した。
押した瞬間だった。
「ジリ、ジリリリリリリリリリリリリリリリリ!!!」
俺は突然の騒音に吃驚した。
脳にガツーンと来るような衝撃がした。
あれ、ガツーンと来る……?

そう思った瞬間、俺は現実に引き戻された。 あ、夢だったのか。

956 名前:目覚めよニッポン! 3/4 ◆qwEN5QNa5M 投稿日:2006/09/24(日) 23:53:41.16 ID:TSPeVCh10
でも目覚めがいいな。
「七時」
セットした時間に起きられるなんて何ヶ月ぶりだろう。

すると、横で何かがピーピー言っている。
これは昨日のデジアナモンじゃないか。
腹が減っているのかな?
「あれ!?」
見てみると驚いた。
昨日育て始めたばかりのデジアナモンが、最強の「キクマモン」になっている。

目覚めもいいし、この電池は凄い。
そう思った朝だった。

この電池が発売されてから、遅刻の量が減少した。
また教師は「授業中に寝る人が減った」とコメントしている。

この電池のニュースが流れていた。
社長とのインタビューだ。
「なんでこの電池はこんなに凄いんですか?」
「凄い電池が何かを考えた。そして出来たのがこの電池。
 世界で一番美しい物を作ったと思う。この電池は『通常の約十倍』のパワーがみなぎっている」

何言ってんだと思った。

そして一ヶ月ほどしたある日の夜。
「さて、もう寝ますか」

957 名前:目覚めよニッポン! 4/4 ◆qwEN5QNa5M 投稿日:2006/09/24(日) 23:54:21.19 ID:TSPeVCh10
ここは処刑場。
王様は俺に言った。
「前は逃げたな?」
は? と思ったが、前の夢を思い出した。
「今度やらなかったら、お前を殺す」
もっともらしい事を言っているはいるが、俺は何も悪い事をしていない。
そして俺の目の前にはスイッチが二つ。
俺は考えた結果、左を選んだ。
俺は無言で左のスイッチを押した。

……何も起こらなかった。
「おめでとう。君は釈放だ」
で、結局何が? と思うと、俺は周りが喜んでいたので合わせて喜んだ。

……と、そこで目覚めた。
あれ? 何で今日はなんで目覚ましが鳴らなかったんだろう。
俺は時計を見た。 ……三時で止まっている。

外を見ると、すでに太陽は俺の真上にいた。
「……え?」
俺はテレビを付けた。
「い、いいともがやってる……」

『パワー十倍』の意味が分かった気がする。
まさかここまで寿命が短いとは。
俺は頭に来て、目覚まし時計を床に叩き付けた。



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