【 睡眠幸福論 】
◆Pet.NTT.Bg




787 名前:睡眠幸福論1/3 ◆Pet.NTT.Bg 投稿日:2006/09/24(日) 19:36:31.63 ID:W7C4yb/H0
「あぁ……またか」
買い物の帰り道、気晴らしに寄った公園。
そこのベンチに、彼女はいた。
「すーすー……」
寝ている状態で。
まさに眠り姫とでも言うべきか。
とにかく彼女はどこでも寝る体質があった。
「おーい、起きろー」
トントン、と体を軽く叩いてみる。
まだ起きない。
「よし、それなら」
皆の思い出にもあるだろう。
学校の教室で机に突っ伏して寝ていると「地震だー!!」って机ガタガタされるやつ。
それを彼女自身にやってみた。
「ハァ……だめか」
やっぱり。何をやっても起きるそぶりすら見せやしない。
仕方ない、起きるまで付き合ってやるとするか……


788 名前:睡眠幸福論2/3 ◆Pet.NTT.Bg 投稿日:2006/09/24(日) 19:37:12.00 ID:W7C4yb/H0

「寝るってことはね、人間最大の幸せだと思うんだ」
いつか彼女がそんなことを言っていたか。
「食べるのも楽しい。遊ぶのも楽しい。だけど」
少し溜めて、本当に、楽しそうな声で言った。
「どうしても睡魔には勝てないんだよ。睡魔は人間を幸せにしてくれようとしてるんだよ」
これが彼女の持論。反論なんかできるわけが無い。
俺も睡眠の魔力にとりつかれたから。


そういえば、宿題がどうしても終わんなくて一日中起きてた日があったな。
睡魔と戦いながら明日(今日)までの宿題を終わらせるために頑張ってた。
そして終わったとき、「これでやっと寝れる!」と思ったとき。
すぐ学校だったから何時間も寝れなかった。
だけどすごく幸せだった。睡眠のおかげでスッキリできた。

あぁ……こんなこと考えてたら眠くなってきたな……


789 名前:睡眠幸福論3/3 ◆Pet.NTT.Bg 投稿日:2006/09/24(日) 19:37:50.77 ID:W7C4yb/H0

「……きな、起きなってばー」
ペチペチ、と頬を叩かれて目が覚めた。
「もう、こんな所で寝てたら風邪引くよ?」
お前が言えたセリフじゃないだろが。
「ああ、起こしてくれてサンキュ」
もちろん、突っ込みは心の中に留めておく。
「ま、君も起きたところで、一緒にもう一眠りしますかー」
俺がベンチに腰掛けると、いきなりそんなことを言い出した。
「待て、色々おかしいぞ」
「んー? 気にしない気にしない」
俺の肩に寄りかかって来たし。
しかももう寝息まで聞こえるし……
俺はガクッっと肩を落とした。
「ふみゅっ」
おっと彼女の頭が勢いよく落ちてしまった。
しかしそのことをもろともせずまた寝息を立て始めた。
こうなったらもうどうしようもない。
俺も一緒に、小さな毎日の幸せを感じてくるか……



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