【 夏の終わり 】
◆qwEN5QNa5M




152 名前:夏の終わり ◆qwEN5QNa5M :2006/08/05(土) 20:10:06.69 ID:4dbzwzBD0
また秘密基地が片付けられてしまった。
作っても作っても、大人はタイヤやダンボールや雑誌を何処かに持っていってしまう。
新しく秘密基地を作る計画が発足した。僕を含めて7人の人が集まった。
『新たな場所』は森の中にある。中に入って行くと、一つの小屋にありついた。
中は結構暗かったが、いたる隙間から光が差し込んでは来る。ボロ小屋の証拠。
僕らは話をしたり、お菓子を食べていた。

その時、急に僕らは暗闇に包まれた。また、体が少し浮いてるような感じがした。
「ビュン!!」 何か凄い風のような音がすると、辺りは元に戻った。浮遊感も感じられなくなった。
その後はその話で持ちきりだった。皆も浮遊感や暗闇に包まれるのをを感じていたらしい。
その話もそろそろネタ切れになってきたので帰る事にした。
みんなは外に出た。 「うわ、眩しい!」 空はまだ全然青く、太陽は僕達の真上にいた。
「変だなー。もうかなりここにいるはずなのにー」
「ま、いいんじゃない? 今日はこれ位で帰ろっか」
僕達はそれぞれの帰路についた。 家に着くなりお母さんが僕に話しかけて来た。
「ちょっとシューちゃん!今日はあんたの誕生日でしょ!プレゼントを買いに行きましょう」
「何言ってるのお母さん?僕の誕生日は先月だよ?」
「あんたこそ何いってるのよ!今日は何日?お兄ちゃんじゃないんだからそれくらい分かるでしょ」
「うん、8月30日だよね」
「熱でもあるの?今日は7月30日よ」
「・・・・え?7月30日なの・・・?」
慌てて時計やテレビやカレンダーなど、あらゆる手段を使って今日が何日か調べた。その通りであった。
「そうよ、全く何いってるのかしら。面白い子ね」
タイムスリップ? 漫画で読んだ事あるけど、タイムスリップする時体がおかしくなって、暗闇に包まれて……まさかあの時……?
あれ? でも今日が僕の誕生日なら、新しいゲームが買える! やった〜。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「シューちゃん、何ボーっとしてるの?早く宿題終わらせなさいよ、夏休みはあと2日しかないのよ」
いくら凄い妄想をしたって、この山のような宿題から逃げられない事くらい分かってるのになあ。



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