749 名前:ジェノサイド ◆MMEYTMikmI 投稿日:2006/07/30(日) 22:51:04.06 ID:drKiCQhhO
「キャァーッ!」
女が叫び、部屋に光が満ちる。
見つかった。俺は油断していたのだ。
昨日、我が家に新しい家族が増えた。子供が生まれたのだ。さほど珍しい事でもないが、やはり嬉しい。
そのため浮かれた俺は、普段は通らないような目立つ道を通って帰宅していたのだ。
「クソッ!」
そう悪態を吐いて、俺は壁に向かって全力で走り出す。
女は追ってきている。
それを確認し、俺はそのままの勢いで壁を駆け上がる。
そして羽を広げ、その女に飛びかかる。
750 名前:ジェノサイド ◆MMEYTMikmI 投稿日:2006/07/30(日) 22:52:53.62 ID:drKiCQhhO
「キャァァァァッッ!!!嫌ァァァッッ!」
女は喚きながら逃げていった。最初に追ってきながら、飛びかかるだけで逃げていくとはどういった了見なのだろうか。
なんにしろ助かった。俺は再び家路を急いだ。
するといきなり視界が白いガスで遮られた。
からだが、うごかない。
「スプレー……さっきの女か……」
奴らは弱者を憐れむ心など持ち合わせていないようだ。
父と母、妻と子を想いながら、俺は目を閉じた。