【 ステージEXTRA 】
◆M.VBgkjmP6




535 名前:ステージEXTRA1/3 ◆M.VBgkjmP6 投稿日:2006/07/30(日) 04:10:19.44 ID:nc3dtl2Q0

チュイーー・・・インィンンーー・・・

髄に響くような慣れない感覚が身体を支配していく。
「うへぇ・・・やっぱ慣れねぇな・・・」
確認するように一人ごちるとコウタは暗闇に身を任せ精神を研ぎ澄ました。
まるで待っていたかの様に、凄まじい情報が彼を渦巻き、
カチャリ・・・カチャリ・・・と世界を創り始めた。
目を開くと、始めからそうであったかのように、コウタは敵と対峙していた。

ここは何処だろうか。
銀のクロスが掘り込まれた長いすが乱雑に破壊され放置されている。木のにおいが心地よい。
シンボルである神の彫像は腰から二つに分断されており、恨めしげな視線を暁の空へ投げかけていた。

「つーことはココはチャーチかよ。やべっ相性わっるー」
聞こえたか聞こえなかったのか、空を見詰めていた男に反応があった。
「来たか。此処はわれ等が聖地。汚される訳にはいかぬ。早々に立ち去れよ。戦士」
2メートルはあるだろうか。
服の上からでも判る強靭な筋肉と巨躯、まるで相応な腰にかかる大剣には独特の圧力があった。
「へへっいやーまー俺は強いやつと戦れればそれでいいんだわ。それにさ、もう壊れてんじゃん。ソ・レ」
ナイトと呼ばれた少年が彫像を指差し、悪びれる様子もなくケラケラと言った。


536 名前:ステージEXTRA 2/3 ◆M.VBgkjmP6 投稿日:2006/07/30(日) 04:12:47.34 ID:nc3dtl2Q0
「下衆が・・・!神を穢した罪は・・・重いぞっ!」
チャリッと剣が抜かれる音がした、と思えば眼前に迫る凄まじい剣圧を感じる。
(だから嫌なんだよ・・・!コイツどう見てもパワータイプだっ)
ろっっ!っと細身のサーベルで上にいなし小柄な身体をスウェーさせかわす。
シュラッ!バシュッ!パパバババ・・・
大剣に似ても似つかぬ音をたて繰り出されるソレは、まさに連打だった。
ボッっとまるで無かったかのように木のベンチが削り取られていく。
それをコウタはサーベルを器用に使い、少しずつ軌道を変えてかわしていく。
だが完璧にはかわせないのか、ピッピッと鎧や顔に傷がついていく。
「フンっ威勢だけか小僧。そのままでは死ぬぞ・・・!」
弾丸の様に正確に眉間を狙う刺突。ボヒュッ!っとなにか有るまじき音がした。
「慌てるなって!だから速攻ヤロウは嫌なんだぜッ!」
風情っーもんを持ちやがれっ!と渾身の力で剣をはたく。

刹那。
ただの摩擦ではありえない程の炎が擦りあった剣身から吹き出る。
(イけるっ!)
そのままの勢いで袈裟懸けに斬りつける。空間が淀んだ。
しかし流石は歴戦の剣士である。突如の事態に隙もなく、後ろに跳ねとび距離を保つ。
赤々とした炎は、意思が有るかのように、コウタのサーベルをぐるぐると包み込んでいった。
「魔法剣士か。それでいて剣技で挑むとは・・・愚かな。」
「試し切りさ。それに、力を使わないに越したことはないぜ。腹が減るからなっ。」

一瞬の沈黙。はははっと笑い声がした。
「笑わすな。其れが精一杯ではあるまい?力ずくで来い。死にたくは無かろう?」
それが引き金となった。
コウタの中で魔力が練られサーベルが見る見る赤く、朱くなっていった。


537 名前:ステージEXTRA3/3 ◆M.VBgkjmP6 投稿日:2006/07/30(日) 04:13:08.37 ID:nc3dtl2Q0
口を吊上げ、黒く光る好戦的な視線で相手を掴む。
「全力でいく!手加減はしてやんないからなっ!」
子供らしい開戦の合図。
いまや燐火のようにあやしい炎を放つ其れを、強く、握るっ!





ガッ!!  バチュウウウウウゥゥゥンンンン・・・

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             プチッ


「ちょっとおかーさん!あれだけゲームしてるときに掃除機止めてっていったのにぃ!!」
「でもアンタ掃除しないでしょ。しない代わり自分が掃除するって言ったって、それ守らないんじゃ、ねぇ?」
「ぶー」
アイマスクにコードを巻き付け、かたしながらぶーたれる浩太。
「あそこまでいくの大変なんだよー」
っとおもむろにデータを確認すると、ピンピロリロリン♪と陽気な音が鳴り・・・・・・

あうぅ・・・データ消えちゃいましたぁ・・・と、明らかに狙っている悪魔の声が鳴り響いた・・・。

(終り)



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