【 フィクション 】
◆qwEN5QNa5M




488 名前:フィクション1/3 投稿日:2006/07/24(月) 00:35:04.50 ID:jz0/uFU90
Yo! 俺はMC.SATOだYo.
Yoって何か痛いな。やめよう。
俺は佐藤って言うんだけどラップでプロ目指して修行中。
その時の名前がMC.SATO。特にひねりも無い。
でも最近はスランプでいい曲が作れない。
なので小説を書くなら本を読んだ方がいいと言うように、曲を聴くことにする。
CDを借りる金はないので、You○ubeで見よう。
 You○ubeとは:動画専用のアップローダー&その動画ファイルの検索サイト。
  世界中の人が使用するため動画の数が凄い。
  最近はアニメやPVの違法コピーをはじめとする様々な問題を抱えている。
さて、今日はあのアーティストの曲でも見てみるか。
あ、1つだけあるぞ。全く売れてないのに凄いな。
特にためらいもなくそのページを開く。
そして見る。

10秒が経った。
ある事に気付く。
「これは、明らかにPVじゃないよな・・・」

何が再生されていたのか。
それは2chではありがちな事。
せっかくなので聞いた事をありのまま書こうと思う。
「今夜23時! △△町の××小学校に火付けま〜〜す!」

放火予告。

489 名前:フィクション2/3 投稿日:2006/07/24(月) 00:35:29.24 ID:jz0/uFU90
「これはアウト」なんて言ってる場合ではない。
何故なら△△町は俺の住んでいる町だからだ。
しかも今(午後の)10時45分。まずい。
××小学校は俺の行っていた小学校では無いので、俺に対する事ではない、とは思う。
ネタかもしれない、しかし自分の街の事だからと俺はその小学校に駆けつける。
その動画については終わってから通報しよう。今は時間が無い。

着いた。ネタでは無かった。
「まずい、もう火付けようとしてる」
俺は男に飛び掛かった。
「やめろ!」
男は一瞬ひるんだが、冷静を取り戻すとポケットから何かを取り出した。
それは先端が怪しく光っていた。
ナイフである。
「そ、それで・・・俺をさささ刺したらちょっとヤバいんじゃないかなあ」
近付く男と離れる俺。
普段鈍感な俺でも、自分に対する相手の殺意くらいは分かる。
やばい、殺される・・・
「・・・・・ゴッ」

しかし、奇跡と言うのはあるものである。
男は寝そべっていた。躓いたらしい。
俺は夢中で飛び乗った。
やがて警察がやってきて彼は逮捕された。
俺は見つかって色々聞かれるのは面倒なので逃げてきた。

490 名前:フィクション3/3 投稿日:2006/07/24(月) 00:36:10.70 ID:jz0/uFU90
俺は家に着くと、曲のアイデアがわんさか出てきた。
スランプを脱出したのである。
こういう刺激的な経験が『次の何か』を授けてくれるのかもしれない。
詞のアイデアは出なかったが、今日あった事を曲に当てはめた。
こうして凄いスピードで曲は完成した。
次の日俺は自分を録画した。
そしてヤフーにアクセスすると、トピックスに昨日の事が載っていた。
 (ヤフーのトピックス:ヤフーのトップにあるニュースの見出しみたいなもの)

・「You○ube」で放火予告

内容は書かないが、You○ubeには「△△町放火予告事件」と名付けられたこの事件の予告動画を見ようと沢山の人が訪れた。
勿論その動画の姿は無く、代わりに1つの動画がアップされていた。

△△町放火予告事件 - MC.SATO

言うまでも無くその曲には沢山のアクセスがあった。
「最後にメールアドレスを公開しといたからな。沢山のファンレターが入ってるんだろうな〜」

沢山のファンレター(メールだけど)が入っていた。中には「ネタ乙」や「死ね」などもあった。
一つ一つ丁寧に見ていくと、その中の一つに俺は本気で目を疑った。

「ソニーミュージックの○○と申しますが・・・」

つら、つら、釣られねえぞ俺は・・・、ネタだ、ネタにききききまってる――――

一年後、TVの向こうの自分の声を聞いて、改めて鬱になっている俺がいた。



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