【 雨宿り 】
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423 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/09(日) 11:30:02.25 ID:gRGMNkEd0
雨宿り

薄めたコーラを飲んだことあるか?
残り少なくなったからといって、水で薄めたコーラを。
俺と彼女の仲も2年間という月日を重ねて、そんな薄めたコーラのようになっていた。
だからさよならと書き置きをして、寝てる彼女の家をこっそりと抜け出したんだ。
・・・出る前は薄い三日月とわずかな星空が見えていたのに。
アパートから3つ角を曲がったところで急にどしゃぶりの雨が降り出した。
朝、二人でいつも横目に観察してた桜の木のあたりで。

1年前に贈られた傘は指輪と一緒に彼女の家に置いてきた。
駅まで走ろうかと思った。
でも立ち止まった。
桜の木の緑の軒先を借りながら俺は雨がやむのを待った。
でも雨は強くなるばかり。
心を壊すかのような勢いで降り続ける雨粒。
どうしたらこの雨はやむんだろうか?
雨音のない雨。俺の頬以外は濡らさない雨。

・・・帰ろう、彼女の家に。
終わらない雨宿りより暖かいベットだ。
そっと鍵を開けて指輪をはめて書置きを捨てて。
そして薄まった、柔らかいコーラを彼女と一緒に飲もう。

おわり



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