【 創られる世界 】
◆ih5a/uuYUk




53 :週末品評会作品1/2 ◆ih5a/uuYUk :2006/07/03(月) 00:57:12.59 ID:ufP0GA6+0
「なんて、つまらない」
本当に。
「毎日毎日、退屈の繰り返し」
そんな日々でも、それなりには満足していたが。
「あぁ、なんて下らない世界なんだ」
呆れて溜息が漏れる。
「こんな世界」
未練はない。
「滅んでしまえ」


55 :週末品評会作品2/2 ◆ih5a/uuYUk :2006/07/03(月) 00:57:40.20 ID:ufP0GA6+0
「またやってしまったらしいね?」
嫌な奴に会ってしまった。
心の中で毒づきながらも、表面上は笑顔を作る。
「お恥ずかしい話さ。中々、難しいものだね」
表情はそのままで、私は肩を竦めた。
半分は嘘で、半分は本当だ。
失敗の一つや二つ、恥ずかしいなんて思わない。
より良い結果を求めれば、失敗はつきものだ。
しかし、それがいつしか成功を生むのだと私は信じている。
ただ、それをこうしてコイツに言われるのは嫌いだ。
ちょっと、自分はうまくやってるからといって。
結果、どうしても私とコイツは比べられる事になる。
コイツより劣っていると見られるのは恥ずかしくて死んでしまいそうだ。
「やはり、大事なのはバランスさ。バランスさえ取れていれば問題はないだろう?」
ち、煩い奴め。何もわかっていないくせにわかった風な口を利くな。
問題がないという事が問題なんだと思わないコイツの思考は私には理解出来ない。
多少なりとも問題があった方が退屈しないで済むというのに。
今回は私にしてはバランスを取り過ぎて退屈になったから諦めたのだという事がわからないのか。
「あぁ、参考にさせてもらうよ。それじゃあ、私は次があるから」
それだけ言って、私はさっさと背を向ける。
立ち止まっている時間はないのだ。コイツには、負けるわけにはいかない。
秩序を好むコイツか、混沌を好む私か。選ばれるのは、どちらか片方だけなのだ。
「あぁ。どちらが選ばれても悔いがないように、お互い全力を尽くそうじゃないか」
ふん、心にもない事を。
思っても、それを顔には出さない。あくまでも笑顔のままで、私は片手を上げる。
私は負けない。前回の実験は失敗に終わったが、おかげでいいデータが取れた。
次こそは、私の望み通りの世界が出来上がるだろう。そして、私は。
「新世界の、神となる」



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