【 あるひとつのさえないやり方 】
◆AhZGjKiCcs




53 :あるひとつのさえないやり方 ◆AhZGjKiCcs :2006/06/13(火) 01:08:53.47 ID:MhWCw9Pr0
ひげを蓄えた恰幅のいい王は隣に立つ執政官に愚痴っぽくもらす。
「今年は去年と比べ納税が少ないのではないか?」
長年続いた悪政が先代王の死により終わりを告げて、その後釜についた現在の王。
「しかし、王様。今年は気候もわるく、」
民は活気を取り戻し、この王に素晴らしき国づくりを期待した。
「そのようないいわけを聞いておるのではない!わかっておろう!」
その結果、返ってきたのは先代以上の悪政だった。
「はっ。わかっております。今後民への税の徴収を強化いたします」
王へ媚びることでのしあがった執政官はしかたなく答える。

しかし、これ以上の徴収はもともと不可能なのだ。現在でさえ限界を超えている税率だ。
これ以上民から金を搾れば確実に暴動が起きる。王自身にもそのくらいのことはわかるはずなのだ。
だというのに、王は何を考えているのか。彼にはまるでわからない。

不満をもつ民達はどんどんと集まっていく。
王のもとにもその情報は入ってきていた。制圧など容易だった。
だが王はけっして行動を起こさない。民が王宮に踏み込んでくるのをじっと待っている。

今まで好き勝手に食い散らかした国が、自分を糾弾して、そして国は生まれ変わる。
独裁者を生む枠組みは必ず廃止されるだろう。
―王はじっと待っている。




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