【 ある存在の記憶 】
◆Rvy1OY3QKw




725 名前:ある存在の記憶 ◆Rvy1OY3QKw :2006/06/04(日) 21:57:13.19 ID:Q9yGBYpLO
「虚無」…
ただ「無」が広がる空間…
そして…「無」の空間にふさわしくない「存在」一つ…

「私は何者だ…」、その「存在」は自らに問い掛けた。

「存在」は記憶を辿り始めた…

「私は…そうだ…確か荒野で生まれた…
いや…荒野じゃない…私が生まれたのは『廃墟』だ…」
「存在」は続けて記憶を辿る。
「そして…私は『中』に人を取り込む事が出来たな…」
「存在」は『中』の意味が分からなかったが、何故か『中』という単語が出て来た。
「そうだ…『中』は激しい争いの場であった…」
「存在」は「争い」の内容を思い出し始めた…

「確か…『同じ言葉』を叫ぶ者が『中』を巡り、『住民』を怒らせ争いとなったり…時には『住民』を否定する旅人が訪れたりと『争いの種』は絶えなかったな…」
その時、存在の頭にある記号が浮かんだ


726 名前:ある生物の記憶 ◆Rvy1OY3QKw :2006/06/04(日) 22:03:08.80 ID:Q9yGBYpLO
「ω…∧…」
存在は謎の記号を二つ思い出した。
「この記号には覚えがある…『中』で日常的に使われていた記号だ。」
そして、『存在』はある数字を思い出す…
「2…2…」
『2』、その数字は変哲もない数字の筈だが、『存在』は聞き覚えがあった。
いや、むしろ『2』は『存在』なのである。


遥か昔、機械が栄えていた時代に人々は存在をこう呼んだ…










『2ちゃんねる』と…


729 名前:ある生物の記憶 ◆Rvy1OY3QKw :2006/06/04(日) 22:14:56.31 ID:Q9yGBYpLO
崩壊の始まりは静かに起こっていた。

『謎のエラー』

「書き込み完了画面に書き込み内容を問う内容の英文が書かれている」という報告があった。
調査の結果、確かに英文は存在したが大した事ではないということで放置された。

次に起こった異変は…

『書き込み先の変わり身』

いや、変わり身というより『感染』である。
11月某日、2chで書き込んだ文章が他の掲示板に書き込まれる事件が発生。
調査の結果、異常は特に見つからなかったが、新たな書き込みが2chに書き込んでも2chのスレッドに書き込みが反映されないために2chから人々は離れていった。


同時期、2chの全スレッドに『2chは生きている』という内容の書き込みがされる。
全書き込みの日時、時間が完全に一致しているために管理側のミスと思われた。
そして、三時間以内にそれらの書き込みは完全に消去された。
『あぼーん』表示すら無いために、一時期話題となったが、すぐに風化してしまった。


730 名前:ある生物の記憶 ◆Rvy1OY3QKw :2006/06/04(日) 22:25:49.40 ID:Q9yGBYpLO
12月某日、2chの全スレッドに『私は生きている』という内容の書き込みがされる。
この頃には2ch住民もだいぶ離れており、あまり噂にはならなかった…が
数日後に2chは謎の閉鎖を遂げる。

それと同時期に『人工知能搭載レンタル掲示板』が世の中に出回り始める。
『人工知能搭載レンタル掲示板』の最大の機能は、掲示板自らが考え、掲示板が自らに書き込みをするという画期的なシステムであった。

しかし、この掲示板はすぐに消え去った。
その掲示板の書き込みは、ある掲示板の書き込みにそっくりだったのである。

その掲示板の名は『2ちゃんねる』

この頃『2chとは意思を持つために生まれた掲示板』という書き込みが多くのサイトに現れた。

その掲示板は意思を持った掲示板だったのか、それとも意思を『作られた』掲示板だったのか…

真相は闇の中である…



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