【 噂 】
◆XS2XXxmxDI




569 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/03(土) 21:17:24.86 ID:nBsbK2I+O
「人の噂も七十五日」
彼女が話始めた。
「だけど、噂っていうのは大抵、七十五日も保たないで消える」
彼女は話中に相槌以外を挟まれる事を嫌う。
僕は心の中で、そうだな、呟くと頷いた。
「だけど、七十五日まで噂が続き、更には七十五日をも過ぎると…」
「どうなるか分かる?」
先を話したくてうずうずしている彼女に、僕は首を横に振った。
「真実になるんだよ」
僕の首振りの後、彼女は深呼吸をし、言った。
その時に、手をワキワキと気持ち悪く動かしている。
「そうか」
そして、彼女が手を動かしたら、聞手は喋って良い、という合図になっている。
「そうか、って、意外と淡泊な反応」
「そんな嘘を僕が信じると思ってるのか?」
「嘘から出た真って言うでしょ? それだよ」
「やっぱり嘘なんじゃないか」
「嘘かどうか試してみよ、今日が一日目」
「この噂だけを流したんじゃ、本当かどうか分からないよ」
「じゃあさ、もう一つ噂を流そっか」
「うん、そうだねぇ…僕が君にプロポーズするってのはどうだい?」
「そうしたら、プロポーズされた人はハイって言う、って噂も流さないとね」
彼女は微笑みながら僕を見た。






BACK−噂 ◆qd25XT18e2  |  indexへ  |  NEXT−それでも◆Qvzaeu.IrQ