【 お人形さん作ろうか? 】
◆0KF/UBMvVE




35 :No.08 お人形さん作ろうか? 1/3 ◇0KF/UBMvVE:08/04/06 01:10:33 ID:tBFmZvQG
 お人形さん作ろうか?

 ぼんやりとした月明かりの下を、僕はゆっくりとコンクリートを強く踏みしめ
ながら一歩一歩進んだ。
 狩人と獲物の舞台。観客は数人のクラスメイト。誰も居ない夜の街の中、諦め
たように一人の少女・・・観客や狩人と同年齢くらいであろう・・・が、声を上げる。

「何でこんな事をするんですか?」

 声と身体は震えていたが、こちらを睨む顔には、恐怖の表情は全く浮かんでいな
い。あるのは、ただ嫌悪のみ。
 彼女の整った顔を頬のあたりからフック気味に思いっきり殴りつける。
地面に倒れこみ、殴られた箇所に手をあてた。彼女は数秒固まった後に恐怖の顔
を浮かべる。
 クラスメイトがその様子をげらげらと笑いながら見て、そして彼女の服を全て剥
ぎ取った。彼女は怯えた表情を浮かべていたが、やがて抵抗しても無駄だと感じた
のか、大人しくなった。
 嫌悪、恐怖、絶望という表情の変化に、僕は興奮を覚えながら、彼女の首を殴り
続けた。できる限り、綺麗な顔に傷をつけないように、というクラスメイトの要望から
である。
 やがて彼女が動かなくなった。解体のはじまりである。
「今日はどの部分?」
 クラスメイトの一人が尋ねる。
「手かな。すごく綺麗なんだ」
手を百円均一の包丁で両手を切り落とすと、 僕はリュックの中に詰め込んだ。
クラスメイトは、手が無くなった美少女をみんなで屍姦した。死体はこのまま町
に野晒しにされる。この町では珍しい事ではない。

36 :No.08 お人形さん作ろうか? 2/3 ◇0KF/UBMvVE:08/04/06 01:11:03 ID:tBFmZvQG
帰宅した後、僕はリュックから先ほどの手を取り出し、押入れを開けた。中には、
人肉で作られた人形があった。身体は腕のつなぎ目や足のつなぎ目。それぞれに、
赤い糸で繋ぎ合わせてあった。部品にして、両腕、両足、胴、首。そして今日の
手。僕は針と糸で繋ぎ合わせていく。僕は綺麗だと思った人を狩り、そして一番
綺麗と感じた部分を持ち帰ってきた。そして腐らないように処置を行い繋ぎ合わ
せてきたのだ。

 昔の記憶について少し述べようと思う。 
 妹はお人形遊びが大好きだった。
「お兄ちゃん。私綺麗なお人形が欲しいの」
 世界で一番可愛い妹がそう言ったから
「お願い」
 叶えてあげたかった。そしてお金が無い僕は、人形を作った。
 妹のためなら、と本まで買って頑張って、布と綿を、そして古本屋で作り方
の本を探して頑張って縫った。
「こんな汚いのいらない。お兄ちゃんの嘘つき」
 僕は泣いた。不器用な自分の手など無くなってしまえばいい、と思った。
 そして、次は完璧な人形を渡そうと心の中で誓った。
 時代は流れて、僕と妹は高校に上がった。妹は人形への興味を失った。
そして僕の罪の意識は薄くなっていった。
「ヨウジタイコウ?」
 それは一本の電話だった。
 交通事故にあった妹が、脳に障害を受けて記憶が小学生低学年ぐらい
まで戻ってしまったのだ。
病室に入った妹は、子供ならではの無邪気さで笑っていた。
「お兄ちゃん。私のお人形さんできた?」
退院してからも妹は、毎日僕に人形はできたか?とたずねてくる。
「お人形さん作ろうか?って言ってくれたじゃない」
と、すねて、疲れて眠る。悲しそうに・・・眠るんだ。
          

37 :No.08 お人形さん作ろうか? 3/3 ◇0KF/UBMvVE:08/04/06 01:11:30 ID:tBFmZvQG
 妹の部屋をノックする。
「お兄ちゃん?お人形さんできた?」
「もう少しでできるよ」
「本当?すごく楽し」
 僕は妹が言い終わる前に、頭を殴りつけた。
 今までと同じように・・・最後の部品を取る。

「うん、すごく綺麗だ」

 今まで繋ぎ合わせてきた身体に妹の顔が縫い付けられる。

そして、完成したそれを、首が無い妹の側に、横たえた。



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