【 無題 】
◆XS2XXxmxDI




無題 ◆xs2xxxmxdi 投稿日: 2006/05/28(日) 23:59:51.83 id:rmmgq7svo
流れ星流れたら、と過去の声を思い出していた。
誰の声だろうか。
正確な事は、僕には分からない。
ただ、その声は、恥ずかしいが、歪みのない、素直な感情を呼び起こしている。
胸の辺りが撫でられた様な感覚が、気恥ずかしさと共に訪れる感じだ。
「はっ」
つい苦笑いしてしまった。
ベランダは少し寒い、部屋に戻るかな。
そもそも僕の苦笑いの原因は、久しぶり振りに流れ星を見たからだから、
部屋の中に入れば苦笑いせずに済む。
少しは名残惜しい気もする。
だが、事実、部屋の中は苦笑いを許さない程無機質だった。
その無機質さが僕の昔の記憶を薄くしているのだろうか。
僕は柔らかくフリースを羽織ると再びベランダに出た。
無機質から逃げているのだろうか。
それとも、無機質で薄れた記憶を取り戻したいのか。
いや、誰だか分からない声が聞きたいんだ。
あの声を聞くと安心する。
母の声だろうか。





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