【 そこに崖があるから 】
◆X3vAxc9Yu6




175 : ◆X3vAxc9Yu6 :2006/05/20(土) 22:16:30.72 ID:uQSc7lna0
「大きいね」
「デカいな」
「本気でここ登るの?」
「……無論だ」
「いま迷ったよね?迷ったよね?」
「うるさい。俺達は一体何者だ。言ってみろ」
「登山部。ロッククライミング部ではないよ」
「……さて登ろうか」
「言ってみろって言ったくせに聞いてないじゃん」

「ねえもう止めようよ、危ないよ」
「ふっふっふ軽いもんじゃないか」
「聞いてる?」
「ふっふっふ。おい遅いぞ!早く来いよ」
「あまり頑張るとすぐバテるよ」
「ふっふっふっふっふ……」
「おおい」

「おおい!なに止まってんの?」
「……!」
「え?なに!?」
「……!!」
「聞こえないよお!」
「う、動けない!」
「マジで?」

177 : ◆X3vAxc9Yu6 :2006/05/20(土) 22:17:09.55 ID:uQSc7lna0

「はあ追いついた」
「案外すいすい登ってきやがって」
「はやく登っちゃおうよ。もうすぐじゃん」
「だから動けないんだってば」
「すっげ足ぷるぷるしてるね」
「た、助けろ」
「んん?聞こえないなあ?もっとちゃんと頼んでくれないとなあ」
「ぐう」
「じゃ、先行ってるよ」
「ま、待ってくれ!助けてください!お願いします!」
「はいよっと」
「うお。お前細い腕してすげえ力だな。ゴリラみてえ」
「……置いていけばよかった」
「ほら、もうすぐ頂上だ!行くぞ!」
「……また聞いてないし」

「やっと登れた」
「茶あ飲む?」
「飲む」
「ほい。いい天気だなあ」
「疲れた」
「でも気持ちいいべ?」
「まあね」
「メシ食うか」
「うん」



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