2 :No.01 ムテキノジュモン ◇MM1q15h9CE:07/06/16 00:18:48 ID:j9Nnjijy
スパーンッ!! と、実に気持ちのいい音が響いた。
「マッチポイント、加奈島・夏目ペア」
ブレイクゲームの後のサービスプレイ。最大のチャンスが到来した。だが、二人の体力は既に限界に達していた。
(……このサービスで決める!!)
加奈島は荒い呼吸を整え、慎重にトスを上げる。ラケットを握る手に力が入る。渾身の力でサーブを打つ。
スパーンッ!!
「フォールト!!」
加奈島のサーブは少し外れた所へと飛んだ。
「くそっ!!」
加奈島は思わず悪態をついた。勝利を目前にして、サーブが思うように入らない。やっぱり俺は、先輩の足を引っ張っているんではないだろうか? そんな不安が頭を過ぎる。
「大丈夫。お前なら絶対大丈夫だ」
すかさず夏目がフォローを入れた。
再び呼吸を整え、トスを上げる。セカンドサービスに備えて、相手レシーバーが前へ出てプレッシャーをかけてきた。
絶対大丈夫。夏目が唱えた呪文を暗唱する。
(大丈夫。今度は絶対に入る……)
「ふうあっ!!」
渾身の力でサーブを放つ。ファーストと変わらないスピードで加奈島のサーブが相手のコートへ。
相手レシーバーは、そのスピードに反応出来ない。棒立ちのレシーバーの横にサーブが一閃。
「うっしゃあっ!!」
「ゲームセット!! ウォンバイ加奈島・夏目ペア」
審判が試合終了を告げる。終了の合図と同時に夏目は加奈島に駆け寄った。
「お前となら絶対いけると信じてたよ!!」
「いえ、先輩のお陰です」
謙遜とは違う、率直な気持ちを夏目に伝える。夏目は少し照れたように頭を掻いた。その後、二人は勝利のハイタッチを交わした。
絶対大丈夫。それは無敵の呪文。