【 明日の君 】
◆TdPl/MFCxc




19 :No.06 明日の君 1/3 ◇TdPl/MFCxc:07/06/03 06:49:23 ID:egLi3LYr
 君に出会ってから何年経ったのだろう・・・
振り返ってみれば、全ての出来事はまるで夢だったような気さえする。

 そう、君を初めて見たのは、僕が高校一年生になった時。
初めて見かける人も多い中、君はその中に埋もれる普通の人だった。
校則も厳しい学校でありながら、髪は薄い茶に染まり、軽そうな感じ。
外見は可愛いけど、僕とは不釣合いだろうな。というのが第一印象だった。

 初めて、君と話す機会があったのはいつだろう。
多分、席が近くなった時じゃなかったかな。実は、よく覚えてないんだ、ごめん。
初めてのクラスになると、男同士、女同士で話をすることが多いと思う。
中学時代の時もそうだったし、高校になってからもそうだった。
そして、そうしてから女の子とも話をするようになる。
これは、僕に限らずの事なのじゃないかなぁ・・・
君と話した事は覚えてないけど、ただの雑談だったような気がする。
グループ同士で話をしてて、それで混ざって話をしたのが最初じゃないかな。
その時は特に意識もしてなかったし、付き合う事になるだろうとは思ってもみなかった。

 それから時は流れて、君とちょくちょく話はしたけども、そんなに親しくも無かった。
僕は勉強がそこそこできて、運動神経も鈍くはなく、顔も標準よりはいいぐらい。
というのが自己評価なんだけど、君の評価とはちょっと違ってたのかもしれないね。
クラスに慣れてくると、恋愛話で盛り上がることはあるわけで、色んな話を聞いたりもした。
その時、噂で君が僕の事を気に入ってるって話を聞いたんだけど、それが意識の始まりだったのかな。

20 :No.06 明日の君 2/3 ◇TdPl/MFCxc:07/06/03 06:50:01 ID:egLi3LYr
 君との距離が縮まった文化祭。
積極的に物事をこなす君は、文化実行委員?みたいな役をやってたね。
男女一人ずつだったけど、もちろんめんどくさいことが嫌いな僕は委員じゃなかった。
クラス全員で参加する文化祭は、夏休みも返上で作業にあたったね。
君はやる気満々だったけど、僕は嫌々の参加で適当に与えられた作業をこなしてた。
モニュメントの作成と、喫茶店の用意。そして、その為の作業。
そして、なぜか君は僕によく話しかけてくれたよね。そして、結構話したりした。
君が僕の事を好きって噂を思い出したり、でもそんなこともないんじゃとか思ったり・・・
気付けば、少しづつ君に惹かれていく自分がいた。

 君からの告白。心の準備は出来てたようで、出来てなかったようで・・・・・・
彼女もいなかったし、女の子と付き合いたいっていう気持ちもあったし、君にも惹かれてた。
だから、告白を受け入れるのは当然の事だったと思う。恋や愛というものは無かったかもしれないけど。
ただ、君は男の子にも人気があったから、君に「付き合う事は、秘密にしてほしい」と言った。
この事は、今でも僕の心の中でくすぶり続けている気がする。

 君と付き合いだしてからの日々。
休みの日や、学校が終わってから時間のある時。
メールもしたし、電話もしたし、デートもしたり、一杯話したり遊んだりしたね。
そして、皆に隠れて交換日記をしたりもした。メールでいいと思ったけど、君が薦めるから。
 
 人懐っこい君は、学校でもよく寄ってきたし、僕が他の女の子と話すと嫉妬したりした。
正直、君のそういう所は嫌いだったし、ウザいと思うこともあったりもした。
そんなことで喧嘩もしたし、話さなくなったりもしたし、話してこなくなったりもしたね。
でも、結局は君が折れて仲直りしたんだっけ・・・僕は頑固な所があるから折れてくれたのかな。

21 :No.06 明日の君 3/3 ◇TdPl/MFCxc:07/06/03 06:51:14 ID:egLi3LYr
 明日で、君がいなくなってから一年になります。
君がいなくなった日、涙は出なかったんだ。悲しい気持ちが一杯なのもあったけど。
なぜか実感が沸かなくて。せつなくて。でも、涙は出なくて。実感も沸かなくて。

 君がいなくなっても、世界は変わらなかったよ。
号泣する女子。悲しげな顔の男子。皆が君がいなくなった事を悲しんでた。
でも、世界は変わらない。しばらくしてから、君がいないだけの同じ日々の繰り返し。

 交換日記を渡す相手がいなくなっちゃったよ。
ふと日記を見た時、君との思い出を思い出して、初めて涙が出てきたよ。
こんなにも切なくて、悲しくて、君との想い出は僕の中で膨らみ続けて・・・

 あれから、交換日記は見なくなりました。悲しくなるだけだったし・・・
日記を見てから、毎日こう思うようになっちゃったんだよ。
「明日こそ、君が日記を受け取って返事を書いてくれる」んじゃないかなっと
そして、君がいない現実を実感して、悲しくなるだけの日々。

 僕の中で大きくなっていく君への思い。
君以外の誰も好きになれそうになかったし、もうそんな気分でもなかった。
でも、君はもういないんだよ。僕は戦わないといけない。
美化されていく過去と、君との思い出に。

 明日、新しい彼女を君に紹介します。
そして、この日記に書き込むのも最後です。

君は嫉妬深かったから、許してくれないかもね。
本当に君の事が好きでした。でも、僕は前に進むために・・・

さようなら、そして、ありがとう。



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