【 感動の実話 】
◆ZKiCFm8B3o




468 名前:感動の実話 ◆ZKiCFm8B3o :2006/04/30(日) 20:47:10.61 ID:apAcnOKu0
日常は地獄だ。
毎日繰り返される苦痛。束縛という名の苦痛。
今日も俺は、人を詰め込んだ電車という名の牢獄に乗り、会社を目指す。
周りの人間は皆、他人。この牢獄は心に孤独を与え、肉体には苦痛を与える。
いや、牢獄はここだけではない・・・
いつもの駅に着き、自分の会社を目指しながら俺はそう思う。
今から目指す所、そこも俺にとっては牢獄なのだ。
態度だけの上司に使いまわされ。
仲の良かった同僚に裏切られ。
慕ってきた新人に蹴落とされる。
それら全てを経験しながらも、俺は今でもこの牢獄に向かっている。
そう、この牢獄は今でも俺に地獄を見せ続けるのだ。
いや、地獄はここだけでは無いのかも知れない。
俺の人生の、過去、現在、未来、全てが地獄なのかもしれない。
正直、楽しかったことなど一つも無かった。
イジメ程の事は無かったにせよ、俺は常に孤独だった。
全てが虚無。
人との関わりは一切無く、ただただ俺は存在していただけだった。
そう、孤独だ。
この言葉ほど俺の人生をあらわす言葉は無かった。
そして、これからもこの無限の孤独は続いていくのだろう。
俺はこの事実に若い頃に気付いてしまっいた。
希望の未来など欠片も無いのだ、俺の未来には。
でも、そんな人生でも、俺には光があった。
たった一筋の救いの光が。

469 名前:感動の実話 ◆ZKiCFm8B3o :2006/04/30(日) 20:47:44.19 ID:apAcnOKu0
―――今日も地獄が終わった。
今、俺は朝とは様子が一変しがらんとした電車に乗っていた。
ここまで、様子が変わると俺の心は逆に喪失感に包まれる。
今日も遅くまで残業か・・・
内心愚痴を漏らしつつ、目的の駅に着いた電車から降りる。
自宅まで駅から10分。俺は自宅目指して歩き出す。
周りは既に暗闇だった。街灯だけが道を照らしている。
もうすぐ家か・・・
家に一歩一歩近ずくにつれて俺は内心の興奮が高まってきた。
オラなんだかワクワクしてきたぞ・・・
二度ネタを口走り、俺は左右を見渡す。
誰もいないな・・・
それを確認した俺は両手を肩と水平に上げ、そして、
「ブゥゥゥゥゥゥン!!」
走り出す。もちろん声を出すのも忘れない。
俺の顔は自然と、子供のように素晴らしい笑顔になっていく。
今なら、今なら空も飛べるような気がする・・・
そう思い、俺はジャンプしてみる。
しかし、現実は残酷だ。
重力に引かれすぐに地面に落ちる。
だが、俺は諦めない。
もう一度ジャンプする。
落ちる。
ジャンプする。
落ちる。
タン、タン、タタン♪
いつのまにかそれはスキップとなり、
我を忘れた俺はいつのまにか自宅に到着していた。

470 名前:感動の実話 ◆ZKiCFm8B3o :2006/04/30(日) 20:48:07.43 ID:apAcnOKu0
「ただいまだお」
誰もいない部屋に俺の声が響く。
いつもの事だ、一人暮らしの俺にはどうでもいい事だった。
すぐに布団に潜り込み、PCのスイッチをつける。
ワクワクテカテカ・・・
内心のテンションは既にマックスだ。
PC起動と同時にネットに繋ぐ。
そして、お気に入りに登録したいつもの楽園をすぐにクリック。
画面に写し出される文字は、
       ニ ュ ー 速 V I P
そして、今日も独り言を漏らす。
「うはwwwwwwwww今日も糞スレ乱立wwwwwwwっうぇうぇwwwwwwww」
そう俺は、VIP依存症。
しかし、俺に後悔は無かった。
なぜなら、VIPは暗闇の中の俺を照らした、一筋の光なのだから。
そして、最後にこれだけは言わせて貰いたい・・・

     V I P 最 高 ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ゥ ゥ ! !

BAD END



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