【 人形 】
◆4lTwCuEYQQ




94 名前:人形 ◆4lTwCuEYQQ :2006/04/29(土) 17:42:23.88 ID:ukayung80
古井志保。彼女は本が好きだった。
主に恋愛系の本だ。しかし志保は最後まで読む事は無い。
何故なら恋人になるまでの過程だけが好きだからだ。
それだけなら問題になるわけでもない。そう。それだけなら。
志保は次第に本だけでは満足できなくなっていた。
ならば。と志保は恐ろしい計画を立てた。
計画のため、志保は心理学の本、催眠術の本を読み漁った。
志保は家族にかけて効果を確かめた後、満足して寝た。

自分が世間一般で言う「美人」ということを志保は自覚していたし、頭もよかった。
志保じゃなかったらこんなにうまくいかなかっただろう。

自分から近寄って行って相手と親密になり「付き合ってくれ」に似たフレーズの言葉が出ると、
自分との記憶を消して離れていった。高校2年生の春から初めて夏までで5人の記憶を消した。
そのせいで「古井志保に近づくと記憶を消される」という噂も流れたので、
2ヶ月ぐらいは本で我慢していた。
さすがに2ヶ月もたつと噂というのは消えていくもので全然聞かなくなった。

そして志保は2ヶ月も我慢していたため苦しかった。
ばれないために今度から「自分の話をしないように」という暗示をこれから全員にかける、
見られても自分だという事がばれないような格好をすると彼女は決めた。
志保は2ヶ月分を取り戻そうと一回で3人づつと決め、同時に仲良くなっていった。
1人離れたら1人補充、2人離れたら2人補充のようにやりくりしていき。
そんな生活が2年続いた。大学に行くのに邪魔になるので彼女は3人とさよならをした。

志保は大学でも同じことをするのだろうと思っていたが、少し飽きが来たみたいで静かなものだった。

95 名前:人形 ◆4lTwCuEYQQ :2006/04/29(土) 17:42:45.30 ID:ukayung80
志保は大学3年生になった。
少し浮かれているように見える。
志保は……恋をした。
相手は相馬 涼。相馬カンパニーの社長の息子である。
ストーカーもびっくりな執念と頭のよさで、家、スケジュール、体調、性格、好みのタイプ、行動パターンを把握した。
夜、街中で涼にぶつかり財布を落とした。
涼が家まで持ってきてくれると信じて。

志保はうまくやった。涼は財布を届けにきた。あとはトントン拍子で事は進んだ。
会って3ヶ月で恋人になり、それから3ヵ月後涼がプロポーズした。もちろん志保は承諾した。
1年後子供ができ、その子供が高校生に上がってちょっとした彼氏も出来た。
その様子を見て志保は思い出してしまった。あのころの自分とあの快感を。
志保は自分を抑えられなかった、もとより抑えるつもりも無かったかもしれない。
涼に催眠術をかけてゆっくりと自分を好きになるような暗示をかけた。
3ヶ月で1ループとなるように設定した。
娘に違和感を与えないようにキーワードでこの暗示が起動するようにした。

「あなたは人形。私の人形。涼は志保の人形。」



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