836 名前： ◆1985/2Zwgk ：2007/03/03(土) 13:34:03.74 ID:S/Sxevr80
お題『守』
百人中百人が「何それ？」と言う、誰も聞いたことの無いミュージシャン。
独りの意味を考えさせられた、僕が好きな唄を歌うバンド。
誰かと彼らを語りたくて。誰とも彼らを語れなくて。
僕はいつしか訪れるようになった、この国で一番大きなネット掲示板。
ここになら、彼らを知ってる人がいるんじゃないか。
ここでなら、彼らを共有できるんじゃないか。
儚い願いは直ぐに、一つのスレッドを探し出す。
でも、僕の喜びはまたさらに反転した。
最後の書き込みはもう一ヶ月近く前。
それでも、それでもとすがりながら、僕は書き込んでその場を去った。
五分後。十分後。二十分後。一時間後。
いつまでたっても僕の書き込みが、一番下で俯くように。
翌日。翌々日。さらに次の日。
誰も僕の言葉に継いではくれないままだった。
検索ではなく板で探すと、スレッドはどんどん下に落ちていく。
僕はそれだけは避けたくて、だからまた書き込むことにする。
この唄が一番好きだとか。ギターの音がいいだとか。
どうでもいいようなことばかりを書き込んでいく。
他のスレッドをまわるうち、この行為の名前を知った。
「保守」
僕は今日も僕一人しかいないスレッドで、独りの意味を考える。
―結―